最近、個別指導コースも始めた、そろばんコースの小学校4年生の生徒さんがいます。あまり本を読む習慣がなく文章を書くのが苦手なんですと、お母様からご相談を受けました。そこで、小学生向け新聞の書写を始めました。全部で20ページの週刊『読売こども新聞』の中から、興味のある記事を選んで、300字余りの原稿用紙に書き写します。
今週、選んで書いてきたのは、北朝鮮のキム・ジョンナム氏殺害の事件でした(写真)。先週書いてきたのは、トランプ大統領と安倍首相の会談の記事でした。意外なことに、国際政治に興味があるようです。理由を聞いてみたところ、「毎日、テレビに出てくるから、どんな人かと思って知りたかった」と言います。
彼の他にも、作文・読書コースや個別指導コースで、新聞記事の書写をしている生徒さんは何人もいますが、みな選ぶ記事が違います。スポーツ記事ばかり書いてくる野球少年がいれば、映画・科学・食べ物と分野に偏りなく書いてくる女の子もいて、それぞれの興味・関心がよくわかります。そして、興味のあることは読み書きを面倒くさがりません。
自分が興味のあることについて、4W1H(いつ、どこで、誰が、何を、どうした)が簡潔にまとめられている新聞記事を毎週書き写すことで、リズムの良い文章で、わかりやすい段落構成をしていく方法を覚え、自然と作文が得意になっていきます。原稿用紙にただ書き写すだけの新聞書写が、作文の基礎力を習得するのにおすすめです。
新聞はお子さんに敷居が高いと思われがちですが、小学生向け新聞は小学生が関心を持ちそうな今はやりのグッズの紹介などもあり、案外、面白がってページをめくっていきます。朝日新聞と毎日新聞の小学生向け新聞は日刊なので、小学生には読み切れないことが多いのですが、読売新聞のものは週刊で量的に読みやすく、月500円と安いです。
お子さん向けに「勉強になるから読みなさい」と、小中校生向け新聞の購読を始めても、なんらかの作業が伴わないと読まずに積まれるばかりで、往々にして購読を中止する結果になってしまいます。書写をした原稿用紙にご家庭でご両親が簡単なコメントを書いてあげるだけで、お子さんは自主的に新聞を読んで書き写すようになります。
小学生向け新聞はすべて読みがながふってありますから、時事問題でも読むことができます。冒頭で紹介した男の子は、昨日この写真を撮る時に、「原稿用紙の君の名前は隠そうか?」と聞くと、「隠さないで出したほうがいいです」と、新聞書写をしていることが少し誇らしげでした。ニュースを家族で見ながら、親子で時事問題が語れたら楽しいですね。
(高橋門樹)