この夏、もんじゅスタッフは複数の私大のオープンキャンパスに参加してきました。オープンキャンパスとは、大学進学を考える高校生やその保護者が、希望する大学のキャンパスに実際に足を運び、教授陣や在学生から大学・各学部、入試に関する話を聞くイベントです。夏休みには、このオープンキャンパスがほとんどすべての大学で開催されます。≪もんじゅ≫
でも今後の進学指導の参考情報を得るために、いくつか難関私大といわれる大学のオープンキャンパスに出かけてきました。

コロナ禍の感染予防策でどの大学も人数制限があり、オープンキャンパスは基本的にネット予約制です。いずれの大学も予約開始時刻の30 分後には満席でした。来場者を絞っているとはいえ、実際には来場者が大勢いて、親子連れで熱心に聞き入る姿があちこちでみられました。一方で、人数制限のないオンラインのオープンキャンパスも並行して開催されます。
キャンパスでは入試の多様化が進んでいることを実感しました。受験生が大会場に集まって一斉にペーパー試験が実施される筆記学力試験がほとんど唯一の入試方式であった時代は、とうに過ぎ去りました。もちろん、今でもそのような一般入試が主流ではありますが、特に私大ではすでに募集人員の半数ほどをそれ以外の入試形態で合格させている大学が多くあります。

一般入試以外というのは、推薦型(学校推薦、自己推薦などその種類は
様々)や総合型(いわゆるこれまでのAO 入試も多様化しています)のほか、IB 入試、帰国生入試、その他にもミッション系であればカトリック系列の学校推薦など非常に多岐にわたります。また、4 月始まりの春入学以外に9月の秋入学も、海外からの留学生のみならず日本人も一部利用しているようです。

かつてAO 入試が導入され始めたころは「一芸入試」と揶揄された時代もありましたが、その内容は様変わりしていて、①学校の成績、②高校までの活動実績(部活よりも社会問題への取り組みに関するイベント参加やボランティアの方が高く評価されます)、③志望動機に関するエッセイや面接、という3 つを兼ね備えた上で、一定レベル以上の英語力(た
とえば最低でも英検準1 級以上、TOEFL80以上など)が求められるという文字通りの総合的な選抜方式になっています。つまり、日頃の地道な学習態度が反映される高校の成績で良好な評価を得た上で、学校外でどのような社会貢献活動をしているのか、そして入学後にその大学でどのような学びをしたいかという目的意識が問われます。

1回の入試の点数だけで合格者を決めるという選別方法では、社会が求める人材を育成することが難しいと大学が痛感していることの裏返しでもあるのでしょう。他の先進国の大学進学では、日本のような1回限りの入試の点数だけで入学を決めるケースはほとんどありません。それは、そのような暗記偏重な学習が本当に有意義なのか、社会に出た時に役立つのかという点が疑問視されているからです。国によって細かい点は異なります
が、多くの国ではまずは日ごろの成績ありきで、その上で様々な合格基準が設けられています。風邪やインフルエンザが蔓延し、大雪で交通機関がストップあるいは遅延する可能性の大きい真冬に入試日を設定すること自体が、すでに時代遅れです。海外では内申書の他に自分の活動実績を証明する資料をメールで送付した後は、オンライン面接で合否を決定するのが主流です。
≪もんじゅ≫が得意とする推薦・総合型選抜の入試は、これからますます増えていくと考えています。1 つの教室で同じ内容を大勢の生徒が同じように解いていくスタイルは、高度経済成長期には便利で役立つものだったのかもしれません。しかし、時代は変わりました。≪もんじゅ≫では、隣の席の子と1 点を争わなくてはならない勉強ではなく、時間をかけて本来の意味での学びを提供しています。これまでも町田市、東京都、国のレベルで中高生が参加できるイベント(ボランティアや行政との意見交換会、都の中高生おもてなし親善大使、議員事務所のインターン、省庁・都庁、国際機関訪問)を奨励したり、高校や大学が提供するユニークな学びの場(慶應WIZARD、慶應大学未来構想キャンプのほか、次世代の国際的リー
ダー育成を目的に設立されたネットワークである「ラウンドスクエアなど」)への参加をサポートしたりしてきました。

こうした生徒自身の活動実績は高校・大学入試で非常に高く評価されますが、ほとんどの場合、保護者も学校の先生もそのような機会の存在とアクセス方法をご存じでないことが少なくありません。一方で、大学側は長期にわたってこのような活動実績がある生徒に優先的に入学してもらいたいと考えています。実際に総合型選抜入試は一般入試よりも早い時期に行われ、このような生徒に先に合格を出し、一般入試は最後の手段になっているのが現状です。しかも、その割合は年々増えています。

これに高水準の英語の運用能力があれば、さらなる強みとなります。今夏のオープンキャンパスでは、流暢に英語を話せる学生さんたちのプレゼンが多くありました。受験生やその保護者に大学をアピールする場
にこのような学生を大学の顔として登壇させるということからも、大学が求めている学生像がうかがえます。

私も含め、保護者の皆様が子どもや学生だった昭和(あるいは平成の初め)のイメージとは様変わりしているのが令和の入試です。メールや携帯もなかった頃と、IT 革命さらにはAI 革命が起きている今を比較すれば、教育に求められている内容が全く異なることは当然です。小・中・高校生のお子さんたちにどのような学びの機会を与えるかということを、自分の時代の経験とは切り離して考えていく必要があることを強く感じた今回のオープンキャンパス体験でした。