1 わが家が「こども教室もんじゅ」を選んだ理由

 息子が高橋門樹先生(以下、門樹先生と呼ばせていただきます)の個別指導を受けることになったのは、2歳下の妹が併設のそろばんコース(門樹先生の奥様が指導をして下さっています)へ通っていたことがきっかけです。
 そろばんコースでは、年に数回都内で開催される大会に出場する際、毎回奥様か、あるいはご夫婦で引率をして下さいますが、とても熱心に子供達と向き合って下さいます。入塾面談の際も、学習の目的や方向性について沢山のお話しをして下さったので、何の不安もなく子供を預けることが出来ました。
 また子供には、ただ闇雲に偏差値の高い学校を目指すのではなく、将来社会に出た時を見据え、世の中に対し問題意識を持ち、自分で考え、探求し、自らの考えを相手にきちんと伝えることの出来る人間になって欲しいと、私は思っていました。
 たまたま、IB(国際バカロレア)プログラムという、大半の授業を英語で行い、探求型の教育プログラムを実践している学校があることを知り、親子で興味を持ちました。何度も学校見学に行き、学習発表会では、奈良の大仏を外国人に紹介するために、英語でホームページを作成した生徒さんの作品を見て、息子の気持ちもIBクラス入学に向けて大いに高まりました。

2 勉強方針について

 門樹先生には、親子面談の機会を幾度となく設けていただきました。IBクラスの試験対策としては、いわゆる受験的知識よりも、グラフから事象を推理する能力や、社会科学を題材とした作文能力が問われると教えていただきました。個人指導は週2回ですが、家庭学習の中で新聞の書写を通じ作文能力を向上させ、算数では基礎的な計算問題を繰り返し説くことにしました。
 これらに加え、先生は何か身近な問題をテーマに取り上げて、1年間をかけて調査し、それらをレポートにまとめたらどうか、という提案をして下さいました。息子は自身の祖父母が住む富山県の県鳥であり、日本アルプスなどに生息する日本ライチョウが、現在絶滅の危機に瀕している事を知り、ライチョウの生態や保護プログラムについて深く掘り下げて調査をしていくことにしました。

3 ライチョウ保護の調査研究プロジェクト
 はじめにこの話を聞いたときは、小学6年生にこんな事が出来るのか、と思いました。しかし門樹先生は本気でした。先生の情熱に手を引っ張られるように、私たち家族を含む合計6人で2019年3月に上野動物園へ行きました。
 門樹先生は、予め動物園担当者への面会や、資料室の予約などの手はずを整えて下さいました。息子は、予め準備しておいた何十個もの質問を獣医の先生にぶつけていました。獣医の先生は、あまりの質問の多さに少なからず驚いたことと思います。しかし、小学6年生のつたない質問にも1時間以上に渡り、丁寧に真剣に答えて下さりました。
 園内にある図書室も驚きでした。動物園の中にこのような施設があった事もそうですが、動物園OBでもある司書の方は、ライチョウに関する様々な書籍や文献の該当箇所を全て事前にピックアップして、我々を迎えて下さいました。門樹先生は以前、大学で教鞭をとられていたので、こういった調査研究に関するノウハウをよくご存じでした。
 次に5月の連休を利用して、家族5人で富山市ファミリーパークへ行きました。上野動物園で調査方法を学んでいたので、全てがスムーズに行きました。富山市ファミリーパークの飼育担当者の方が、ライチョウ保護に並々ならぬ情熱を注いでいることや、ライチョウの保護を通じて幾つもの動物園や、国、企業、その他沢山の動物を愛する人々が繋がっていることを知りました。
 夏休みにはもう一度先生に引率をして頂き、塾の生徒さん数名と共に、霞ヶ関にある環境省まで、ライチョウ保護や生物多様性の推進を担当している職員さんの話を聞きに行きました。通常、特別な人間関係も無しに一般人が霞ヶ関へ行き、担当者の話など聞けるはずがありません。門樹先生の人脈の広さや、目的を達成する為の並々ならぬ情熱を感じました。
 こうして1年間近くかけて作り上げた、原稿用紙80枚以上にも及ぶレポートは、思わぬ形で中学入試当日に役立つこととなりました。筆記試験を終えた後は面接です。7分間の生徒面接の後、親子面接のために私が入室を促されました。面接室に入った瞬間、息子が見せていたであろうそのレポートを、外国人の先生が満面の笑みでこちらに掲げている姿が目に飛び込んできました。気が早いのは重々判っていながらも、ホッとした気持ちになった事を今でもよく覚えています。

4 受験を終えて思うこと

 合格発表は入試当日の夜でした。息子と共にパソコンの画面に向かい、パスワードと受験番号を入力しました。息子がおそるおそる確定ボタンをクリックすると、その瞬間、画面がパッと桜色に変わりました。それが何を意味するのかはすぐに判りましたので、文字をよく読みもせずに息子の肩をたたきました。無邪気に飛び上がって喜んでいるその様子を見ながら、私も妻と手を取り合いました。
 振り返ってみると、あっという間の1年間でした。息子は毎日コツコツとその日するべき事に取り組んできました。特に80ページに及ぶレポートの作成は、泣きべそをかきながらも何とかやりきりました。気持ちが乗らない時も当然にあったと思いますが、よく頑張ったと思います。今思えば私自身が、子供のために親として出来ることを、人任せにせずやりなさい。そう門樹先生に教えて頂いた気がします。
 現在先生には、新たに始まる学校生活に向けて英語の個人指導を御願いしていますが、ひたむきに情熱をもって子供達を指導して下さる門樹先生の存在が、こんなに心強い事はありません。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 了