文科省の学習指導要領の改訂により、小学校教科書は2020年4月から、中学校教科書は2021年4月からすべての出版社が内容を一新しました。どちらも激変したと言われる教科は英語です。小学校は5・6年生の英語が「外国語活動」から正式な教科となって成績がつくようになりました。そして中学校の英語は、これまで卒業時点で修得すべき単語数が1200語だったのが2021年からは2500語となり、倍増したのです。そして大学入試の共通テストがリーディングとリスニングを同じ割合で配点することに対応して、教科書もリスニングの比重が従来よりも大きくなりました。これまでの英語のように穴埋めや単語の並び替えではなく、半分は英語の長文を聞き、英語で解答するようになります。

保護者の皆様は小学校英語の教科書をご覧になったことがあるでしょうか。一見すると大半がイラストや写真ばかりで簡単に思えます。文科省は、小学校英語は決して中学校英語の前倒しではなく、コミュニケーションを目的にすると説明してきました。ところが、教員用の手引きには生徒たちに教師が語りかけたり、DVDで視聴させたりする英文がびっしりと書き込まれており、実際のところネイティブの英語指導助手が話す英語を理解できるのは、それまでに英語を勉強したことのある3分の1程度の生徒に限られています。小学校ですでに英語格差が生まれています。

全国の英語教師たちが衝撃を受けたのは今年4月、中学英語の教科書が配布された時でした。それまで中学1年1学期は、アルファベットの書き方、あいさつ言葉、Be動詞で名前や年齢を言うところから始まり、2学期で一般動詞、現在進行形、3学期でCanと過去形を習っていました。ところが、今年の教科書は中学1年の1学期でそれらがすべて出てくる上に、従来2年生の学習内容だった不定詞も入っています。教科書は2ページに1つずつQRコードがついて、ネイティブ音声を手軽に聞けるようになっています。中学生の英語学習にスマホは必須となりました。学校の授業ではネイティブ音声をCDで聞かせて問題を解かせ、本文を丸暗記して暗唱の小テストが毎回のように行われています。

これまで中学卒業までに1200語を学習していたのが、半分以上の700語が小学校英語に割り当てられています。小学校英語は前述の通り、中学校英語の前倒しではないという前提で、単語の暗記や筆記はさせない、文法解説はしないことになっているにもかかわらず、中学入学時点でそれらの単語と文法事項は修得済みとして中学英語の教科書が作られていることが明らかになった今年4月は、SNSで英語教師たちの悲鳴があふれかえりました。

≪もんじゅ≫音読コースの小学生のクラスでは小学校英語に対応すべく、2年前から音読・書きとりコースのテキストに英語教科書の教師用手引きに載っている英文ほぼ全文をそのままコピーして音読と書取りをしています。そして中学生のクラスではこれまで漢字・英語・国語・社会をバランスよくテキスト化していたのですが、今後それでは英語がついていけないと判断し、今年4月から急きょすべてを英語テキストに変えました。中学生向け音読・書きとりコースは「英語リスニング・書きとり・英作文」に内容を変更しました。特に教科書リスニング部分のネイティブによる会話は、音声が学校の授業で流されるけれども教科書にその文章が掲載されていないので、生徒はよくわからないまま授業が進行してしまいます。もんじゅではそれら英文をすべて書き出し、リスニングと音読指導をしています。また生徒どうし2人組で自分の考えを答える各単元の対話文は、その生徒の体験と考えを踏まえた作文の予習指導をしています。

英語レベルの急激な引き上げがなされたことは、世間であまり知られていないかもしれません。しかし、このままでは英語が苦手となり、入試で苦戦する生徒が大量に出てきます。単純に英語問題集を黙々とこなすのではなく、英語の音声を大量に聞き、意味を理解し、英作文をすることが、これからの英語教育・学習方法となりました。今の小学校英語・中学校英語に興味のある方は、ぜひ≪もんじゅ≫にお問い合わせください。教科書などをお見せして、ご説明します。