こども教室≪もんじゅ≫では、年間数回出場する各種のそろばん大会・コンクールに教室として出場するにあたり、能力とやる気のある生徒さんを選抜した15~20名の「選手団」を結成して、毎月無料で特別練習を週末に行なっています。昨日4月7日(日)の午後は、その選手団の練習日でした。
まず、3月17日(日)の東京都低学年珠算コンクール(全珠連東京都支部主催)と、3月27日(水)の日米小学生そろばんコンテスト(全珠連神奈川県支部主催)に参加した選手たちに、感想と改善点を1人ずつ発表してもらいました。今回は初出場した生徒さんが多く、新鮮な発見が多くあったようです。
低学年珠算コンクールではカンニング防止のため、解答用紙に書いた答えの書き直しが禁じられていることなど、教室での練習とはやり方が違うことや、合わせて千人近い選手が集まる大会に圧倒されたことなど、大会経験の少ない低学年の生徒さんならではの感想がありました。
日米小学生そろばんコンテストでは、意外にもそろばんを練習しているアメリカ人の小学生たちがたくさんいて驚いたこと、勇気を出して英語で会話を試みたけれど、こちらの英語が通じなかったためか、反応がなかったり、返ってきた言葉が聞き取れなかったりしたことが、国際交流の「あるある」経験でした。
英語読上算は最初の数題こそアメリカ人向けに1ケタ5口の問題がゆっくりと読まれていましたが、最後の問題などは小学生の大会にもかかわらず最大で13ケタの数字が高速で読み上げられました。ハイレベルな英語読上には、「速すぎて何を言っているのか全くわからなかった」と、ほとんどの選手たちは降参ぎみでした。これも良い体験です。
どちらの大会でも満点や入賞を獲得した選手たちはいましたが、惜しくも満点賞を逃したり、見取算はできたけれども読上算とフラッシュ暗算で満足な点がとれなかったりなど悔しい思いをしたことを語る選手たちがいました。皆それぞれに今後の練習の課題を発見できたことは、大きな収穫です。
昨日のメイン練習は、8月21日(水)に東京武道館で開催予定の世界そろばんフェスティバル(東京都珠算教育団体連合会)出場のための練習です。オリンピックに先駆けた国際親善イベントとして、各国のそろばん学習者たちを含め、約千人が参加予定の大会です。生徒さんたちに国際的な体験をしてもらいたい≪もんじゅ≫は、募集要項を見てすぐに教室としての参加を決めました。
「ピラミッド形式の加算問題」5枚が出題されるとのことで、さっそく練習問題を用意し、選手団の生徒さんたちに解いてもらいました。横一列に並んだ2ケタの数字を隣り同士で合計し、上に積み上げていきます。難しい計算ではありませんが、5枚20分は上級以上でないと答えきれないことがあります。
5枚すべての問題で正答した生徒さんはいたものの、問題数が多く、有段者・上級者でも急いで計算すると、1つか2つの計算ミスをしてしまいます。特に下段の計算でミスがあると、1枚分がまるまる0点となりかねません。速さよりも正確さが重視され、採点すると級位・段位の逆転現象が起こりました。
他にも、左側から右側へ計算を進めると、自分の右手が邪魔で次の数字が見えなくなるので、右側から左側へ計算していくことや、同じ数の加算を2回ずつするため、効率よく計算するには計算の順番を考えるなど、テクニックが必要なこともわかってきます。少しでも計算ミスを減らし、効率よく計算するための工夫を考える練習にもなります。
練習の後半は、フラッシュ暗算と読上・読上暗算、英語読上算です。これらは数と英語に対する目と耳の反射神経が鍛えられます。フラッシュ暗算はすでに多くの大会で競技の1つとなっており、対外的なアピール度も大きいです。小学校でのボランティア授業でもとても受けます。鍛えておかない手はありません。
英語読上算は、高学年以上になると英語に対する好き嫌いや得手不得手がでてくる一方で、低学年までは指導者の発音を真似て単純に喜んでくれます。英語を好きな中級者が、英語が苦手な上級者を負かす「下剋上」が起き、場が盛り上がります。時々妙に発音が上手な子がいるのも楽しい発見です。
出場予定の各種大会で好成績を収めるための練習が主目的ですが、英語読上算や国際交流的な大会も練習対象に加えることで、選手たちを多角的に活性化することができます。大会参加後の振り返りを皆の前で1人1人にさせることで、以前は人前で話せなかった子がきちんと自分の言葉で話せるようにもなります。
選手団の生徒たちには、「大会の競技や学校の試験では正確さが大切。丁寧に解いて書くこと。練習を積めば速さは自然とついてくる」、「他人よりも秀でている能力があっても、それは将来人や社会に役立てるためのものであるから、人に対して決して上から目線にならないこと」などを教えます。小学生の子どもたちが、案外まじめな顔つきで肯きながら聞いています。
≪もんじゅ≫では普段の教室での練習とは別に、そろばんの猛者たちが集結する大会出場とその準備を通じて、努力して自分の能力を高めることや仲間と切磋琢磨することの大切さ、そして社会性を身につけてもらいたいと願っています。お子さんの習いごと選びは偶然の要素が大きいかもしれません。しかし、確立された教育メソッドを持つ習いごとで没頭して練習することは、必ず将来の役に立ちます。