わが家の教室の生徒さんの小学校6年生の女の子が、学校の国語で出た「GW(ゴールデンウィーク)課題」を持ってきました。課題は「短歌を2首つくりなさい」と「俳句を1句つくりなさい」でした。
「なにを詠めばいいですか?」と尋ねるので、「GW課題だから、GWに体験したことをいくつか挙げてごらん」とアドバイスしました。
「買い物、お出かけ、ゲーム、映画……」「買い物やお出かけはどこに行ったの?」「最近スヌーピーが好きになったので、お母さんと友だちで原宿のスヌーピータウンに行きました。たくさんスヌーピーグッズを買ってきました」
「GWだから原宿は混んでいたでしょう?」「お店の中は人だらけで、買う物をじっくり選んでいる余裕はありませんでした」「では、“原宿”と“スヌーピータウン”を入れて、短歌を作ってみてはどうかな」などと何度かやりとりをして、一首できました。
「初めての スヌーピータウン 原宿なう 人ごみかき分け あれこれつかむ」
最近スマホを始めたという彼女は、「なう」というネット言葉を入れてきました。「人ごみ」は、最近学んだ石川啄木の「ふるさとの 訛なつかし 停車場の 人ごみの中に そを聴きにゆく」から取ってきたのでしょうか。原宿のお店でワクワクしている様子が目に浮かぶ、小学生らしい歌になりました。
もう一首は、彼女が所属する手芸部でGW前に配られた藍染めの藍の種を、きのうプランターに植えたとの話を聞き、それを歌にしました。去年も家で植えて育てたものを秋に刈り取って、学校で藍染めにしたそうです。植えたばかりの種が夏に育って、秋に染料として使う楽しさを歌にしました。
最後の課題の俳句は、まず季語を決めたいです。
「もう母の日の準備はした?」と聞くと、「スマホでカーネーションを選びました」と言います。
「ネットで予約注文をしたの?」「実際に買うのはお店ですけど、スマホでカーネーションのいろんな種類を見るのは楽しいです」。まだ小学生だからスマホで買い物はできなくても、多くの画像を検索して見ることでワクワクできます。「カーネーション」を季語にして、お母さんが喜ぶ姿を思い浮かべる気持ちを込めた句にしました。
本当はせっかくつくった短歌と俳句をすべてここで紹介したいのですが、今日、学校に提出する宿題なので、上記1首だけにしておきます。
いくつかの簡単な質問に答える過程で、子ども自身がテーマやキーワードを見つけます。子どもの最近の行動に大人が耳を傾けて語らせると、子どもはその場面が浮き上がるように説明してくれます。小学生ですから、歌の巧拙は問いません。想いを言葉に移し替えていく楽しさを知ってもらえれば十分です。
そろそろ母の日。わが家でもカーネーションを選ぼうかと思います。
(高橋門樹)