こども教室≪もんじゅ≫が所属する全国珠算教育連盟で、日ごろお世話になっている菅野孝志先生から、菅野先生が常任理事をされているNPO法人国際珠算普及基金(ISDF: International Soroban Diffusion Foundation )の機関誌『ISDFニュース』第94-95号と『アクションレポート』平成29年1・4月発行号をいただきました。当FBで内容をご紹介させていただく許可をいただきましたので、以下に一部を引用させていただきます。

 国際珠算普及基金は、日本のそろばんを世界中に普及しようとの考えのもと、珠算関係者で構成されている団体です。活動は、(1)親善珠算使節団の派遣に関する事業、(2)広く海外において珠算の教育的価値の広報に関する事業、(4)海外で珠算教育に従事する者に対する指導育成に関する事業などを行なっています。これまで使節団をフィジー、ブラジル、チュニジア、マレーシア、インドネシア、パラオ、中国、台湾、韓国、レバノン、南アフリカ、イギリスなどの国や地域へ派遣してきました。

 多くの国々との交流をされている同基金ですが、残念ながら交流が途絶えてしまう国もあるそうです。というのも、その国の政権交代によって使節団受け入れの政府担当者が替わったために交流活動が滞ってしまうことや、政変によってその国の治安が不安定になり、使節団の派遣が難しくなることもあるためです。一方で、トンガ王国のように安定した政情の下で40年間もそろばん交流が継続している国もあります。

 藤井將男トンガ委員長の「2015年度トンガ訪問報告(3)」によると、トンガ王国では毎年、約170ある島々を4つの地域に分けた地域予選を勝ち抜いた人たちが集まり、オールトンガ珠算競技大会が争われているとのことです。同国では算数の教科書にそろばんが載っていて、基本的にすべての学校でそろばん指導が行なわれています。2017年3月の同大会に藤井委員長が参加された時には、在トンガ日本大使館大使からその功績に対して表彰を受けられたそうです。

 台湾への使節団報告もあります。これは2017年3月に引率者8名と生徒団員12名が台北市へ行ったものです。台北では、現地の暗算教室の生徒ら29名と、かけ暗算、わり暗算、見取り暗算などで交流活動が実施され、トロフィーや感謝状、記念品などを贈り合いました。競技会の他にも、台湾総統府や台湾最古の寺院の見学などがあり、使節団一行の皆さんはそろばんを通じた海外交流の意義から、日本と台湾の近現代の関係史についてまで様々なことを体感し、触発されたことと思います。

 私が25年前に中国で滞在していた頃は、店員が商品の合計金額を客に提示するのにそろばんを使っていましたが、先日、浅草のそろばん店で会った観光旅行中の中国人と話したところ、そろばんはすでに中国の学校で教えられておらず、年配者が懐古する骨董品扱いだとのことでした。一方、『ISDFニュース』では大阪の大谷茂義顧問が、珠算の国際化問題として中国との珠算交流の重要性を挙げていらっしゃいます。隣国の日本と中国が更なる協力関係を構築して、そろばんを世界へ発信できるといいです。

 写真は、オールトンガ珠算競技大会入賞者と藤井將男トンガ委員長(後列右から2番目)の写真です。国際珠算普及基金ホームページの動画「2015年度トンガ報告記録」から画像お借りしました。

(高橋門樹)