『日本経済新聞』に「珠算パチパチ1級88回」という記事(2014年9月2日朝刊36面)が掲載されていました。素敵な記事ですので、要約してご紹介します。
大阪市にお住まいの河村信子さんは現在68歳、小学校4年生からそろばんを始めて、中学2年生で2級に合格しましたが、その後はそろばんから遠ざかっていました。そろばんを再開したのはご主人とそろばん塾を始めるにあたって、1級を取得しておこうと思ったのがきっかけです。1969年に1級の検定試験を受験、無事に合格しました。
すでに合格した1級を河村さんが再受験したのは、そろばん塾の生徒さんが検定試験に不安を持っていたので、一緒に受験して安心させようと思ったことが理由でした。それ以来45年間、生徒さんと一緒に受験を継続してきました。1級検定は年に3回あり、50回目の合格を果たしたころから、そろばんを弾く音の「パチパチ」で語呂がいいので、88回の合格を目指すことにしました。そして、ついに今年2月に88回目の合格を実現し、検定受験を終えることにしました。
通常、一度合格した級を再度受験することはありません。でも生徒さんやお子さんと寄り添うために、また教師自らが挑戦し続ける姿を見せるために、1級受験を45年間続けられたなんて、とてもまねのできないことです。その間には、親の介護、ご自身の入院など、大変な時期もあったようです。それでも、河村さんはそろばんを手放しませんでした。3人のお子さんも1級を取得しました。「家族全員が1級をとれたのは一番の思い出」とのことです。
≪もんじゅ≫にも親子でそろばんを習われているお母さまが何人かいらっしゃいます。教室では親子で並んで座り、そろばんのタマを弾き、一緒に検定を受験され、親子で共に学んでいらっしゃいます。お子さまの学修を見守り、ご自身も年齢に関係なく学ぼうとする姿勢には、こちらの頭が下がります。
河村さんは記事の最後に「生徒たち、子どもたちと一緒だったからこそ、私もそろばんを続けてこられた。その楽しさをこれからも伝えていきたい」と綴られています。全く同感です。≪もんじゅ≫スタッフも、河村さんのお言葉を胸に秘めつつ、生徒さんに接していきたいと思っています。