26日(木)午後のクラス「映画『ベイマックス』で英語をおぼえよう!」は、今回の春期講習で参加者が最多のクラスでした。前回の講習では映画「アナと雪の女王」のDVDと英語絵本を使ったので、今回は同じディズニー映画の「ベイマックス」を使うことにしました。

 とはいえ、2時間すべてを「ベイマックス」だけに使ったわけではありません。受講生は映画の英語のセリフをいきなり取り出しても理解のできないお子さんがほとんどです。さらには今回の受講生は幼稚園年長から小学5年生まで年齢が幅広いため、冒頭40分間ほどは、アルファベットのおさらいと英語による自己紹介、Be動詞の基本構文を勉強しました。
 まず、口頭で “How do you do. I am ○○.” “How do you do. My name is ○○.” “Nice to meet you. I live in ○○.” などの自己紹介を、3人1組のグループを作って互いに繰り返し行いました。音声で英語のフレーズを理解した後、それらを≪もんじゅ≫が用意した英語練習用4線ノートに書きました。小学校2年生以下の生徒さんには、英語フレーズではなくアルファベットの練習をしてもらいました。
 グループ内のロールプレイングは、“I am ○○.” “He is ○○.” の○○の部分に、「しあわせ(happy)」「わくわく(excited)」「かなしい(sad)」「お腹がすいた(hungry)」などを入れて、Be動詞の基本構文をおぼえてもらいました。簡単なフレーズは学年に関係なく音と意味でおぼえられます。
 さて、「ベイマックス」です。ここでは最初の40分間で繰り返し発音した “I am ○○.” “He is ○○.” のセリフばかりを、英語絵本「ベイマックス」(英語名“Big Hero 6”)の中から取り出して、映画のシーンと合わせてパワーポイントのスライドと配布資料に作り、見せました。それらには以下があります。(講習用に若干変更した部分があります。)

①ヒロに初めて出会ったベイマックスが言う言葉。
 “I am Baymax.”「ぼくはベイマックス」 
 “I am a robotic nurse.”「ぼくは看護ロボット」
②ヒロについての説明文。
 “Hiro is a genius.”「ヒロは天才だ」
③キャラハン教授扮する悪者についての記述。
 “His name is Yokai.”「彼の名前は妖怪」
④戦闘スーツを来たベイマックスの言葉。
 “I am a crime-fighter.”「ぼくは正義の味方」
⑤Be動詞構文ではありませんが、ベイマックスがヒロを抱きしめる時の言葉。
 “I give a big hug.”「ぼくがぎゅっとハグしてあげる」

 これらを音読してから、単語の言い換えを練習しました。
(例えば “big hug”「ぎゅっとハグする」→ “big smile”「にっこり笑う」→ “big hand”「拍手する」。“crime-fighter.”「正義の味方」→ “fire-fighter”「消防士」など)
 そして映画鑑賞です。英語版の映画「ベイマックス」を観ました。上記のセリフが映画で出てきたら、映画を止めてそれをリピートしたり解説をしたりしました。とはいえ、ディズニー映画は説明がなくても、動画を見ているだけで意味が十分わかります。1人を除いて生徒さんは皆がすでにこの映画を映画館で見ていたので、細かな英語がわからなくてもストーリーを追うのには何も問題ありませんでした。映画館で見ていなかった子も含め、子どもたちは日本語版と変わらず、笑う場面では笑っていました。
 鑑賞後に感想を尋ねたところ、ある生徒さんから「映画の中で “Yes” の使い方が力強かった」との指摘がありました。日本の英語教育では “Yes” が、もっぱら相手の質問への「はい、そうです」という肯定回答で使われがちですが、「ベイマックス」や「アナ雪」などの映画では「やった!」「よし!」など、思い通りになった時の嬉しさを表現する感嘆詞としても使われることが見て取れます。
 主人公ヒロの声が、映画の英語版では日本語版よりも低くて大人っぽかった、と感想を口にする人もいました。英語版を見ると、「ベイマックス」はもともと英語の題名が “Big Hero 6” という戦闘シーンに重点が置かれている作品であることがわかります。「かわいい」がほめ言葉である日本では、ヒロくらいの年齢のキャラクターには少年らしい声が吹き替えにあてられるのに対し、アメリカでは少年であってもヒーローには男らしさや大人っぽさが要求されるのでしょう。 
 私、高橋門樹は、つい先日まで中国へ仕事で5日間の出張をしていました。中国の書店でもディズニー関連書籍がたくさん売られています。「ベイマックス」は中国語で「超能陸戦隊」、「アナ雪」は「氷雪奇縁」(英語名“Frozen”)、「小さなプリンセス・ソフィア」は「小公主・蘇菲亜」(英語名“Sofia the First”)です。それらの絵本を買って帰り、春期講習受講生に見せたら、英語、中国語、日本語それぞれの題名の意味が少し違うことを不思議がっていました。

 英語に対して受験科目として単語の暗記、文法理解、英文和訳などからばかりアプローチするのでは、英語がつまらなくなってしまいます。英語(あるいは外国語一般)は結局のところ、ある程度の年齢になってから一所懸命勉強しなければ習得できませんが、幼少期から英語を絵本や映画などで身近に見聞きすることができ、時おり外国の文化や人と自然に触れられる環境を作っておけば、いざ中学生、高校生で英語を学習するときのハードルは間違いなく低くなっているはずです。