昨日6月13日の『朝日新聞』夕刊に
「華麗な人 覚えた言葉脳の栄養」と題した興味深い記事が載っていました。

古事記の編纂に貢献した稗田阿礼(ひえだのあれ)の記憶力を記念して、
阿礼の出身地の奈良県大和郡山市で「記憶力大会」が毎年開催されています。
今年の大会は、子どもから高齢者まで265名が参加しました。
各種ある競技のうち「自慢の部」で準優勝した68歳の女性、
「記憶力の達人」片岡ヤス子さんのことが、その記事で紹介されていました。

片岡さんが暗記したのは、「外郎売」(ういろううり)です。
これは、歌舞伎十八番のひとつで、
「せっしゃ親方と申すは、お立会のうちにご存知のお方もござりましょうが」
ではじまる長ゼリフです。
リズム感のある早口言葉がこれでもかとばかりに盛り込んであり、
聞いている聴衆も楽しくなってきます。
ただし、セリフは文字数にして1,700字余りあり、簡単には覚えられません。

記憶力自慢が集う大会で入賞する人なんて、生まれつき簡単に記憶ができてしまう
特殊な才能の持ち主ばかりかと思いますが、決してそんなことはありません。
片岡さんは家事をするかたわらに、また、ご主人とのウォーキングの最中にも
練習を繰り返したと言います。
そして、「効果があったのは声を出すこと、そして書くことでした」。

新聞には、近くの公園で原稿を片手に、「恥ずかしさを捨て去って、高らかに」
声を出している片岡さんの写真が掲載されています。
さらには、声に出すだけでなく、カレンダーの裏紙に何度もセリフを書いたそうです。
ふだんも本や雑誌で素敵な言葉を見つけると、それを書いたり読んだりしているとのこと。

「記憶した言葉は脳のいい栄養になる。ぼけ防止にも効きますよ」
とおっしゃっています。
音読・書きとりは、老若問わず脳に良い刺激となるようです。

片岡さんが準優勝した「自慢の部」での優勝者は、わずか6歳の男の子で、
百人一首とその作者を日本語でそらんじただけでなく、
英語でも暗唱したそうです。すごいですね。

≪もんじゅ≫の「音読・書きとりコース」でも、
古事記や百人一首の一部を、音読テキストに取り入れています。
生徒さんたちは、短い文章でも暗記して教室で暗誦し終えると、
満面の「どや顔」で嬉しそうにしています。
一緒に音読をしてみませんか。

門樹