子どもは鉛筆で なにかを描いたり、小さなものを動かしたりすることに興味を持ちます。そこで、そろばんを習い始めた小さなお子さんには、数を理屈で説明するよりも、とにかく線や字を書いてもらい、そろばんに触ってもらいます。
体験授業などで、お子さんにそろばんのタマを動かしてもらうと、みなさん「楽しい」「もっとやりたい」と言います。これは、幼児の算数教育での、そろばんの最大の特徴であり魅力でもあります。無理に強いる「勉強」ではなく、遊びに近い感覚で「楽しみながらの理解」が実現できます。
カクッカクッとした折れ線を書いたり、グルグルと楕円をくりかえし書くことは、それだけで楽しいですし、それが細かな指使いが必要になる文字を書く基礎練習になります。そろばんの珠を動かしたり、ドリルで数字の数だけマルを塗りつぶしたりして、数の概念を理解していきます。
家で数字やひらがなのドリルをお子さんに書かせると、なかなかきちんと字が書けずに、親はイライラするかもしれません。でも、≪もんじゅ≫で多くのお子さんを見てきた経験から言えば、5歳でたどたどしく字が書け、6歳で少し形がいびつな数字をなめらかに書けるようになるというのが平均的なところでしょうか。焦る必要はありません。
小学校に入学すると、それまで伸び伸びと幼稚園・保育園で遊んでいたのに、長い時間、椅子にじっと座って授業を受けなくてはいけません。いわゆる「小1の壁」です。でも、そろばんに通っている生徒さんたちは、小学校に入学する前に1時間ほど机に向かって勉強することがすでに習慣になっています。
日本で昔からあった寺子屋式の「読み・書き・そろばん」の勉強は、勤勉で優秀な日本人を育てるのに大きな貢献をしてきたと思います。コンピューターが発達した現代においても、指を使って実際に文字を書き、そろばんのんをタマを動かして数字を理解することが、算数・識字できわめて有効であることに変わりはありません。