かつて入試と言えば、帰国子女入試など特別なものを除いて、2月に大勢の受験生が一斉に志望校に集まり、筆記試験の点数を競う「一般入試」しかありませんでした。ところが1990年代以降、暗記一辺倒の学習方法ではグローバル時代に必要な人材を育成することができないことから、AO(アドミッションオフィス)入試が多くの大学で導入されました。多様な人材を採用できるAO入試は、少子化とあいまって普及し、現在は総合型選抜と名前を変えて、国公私立を問わず実施されています。それに伴い、高校入試、中学入試でも、一般入試にとどまらず、様々なタイプの入試が行われるようになりました。
塾業界も大きく変化しました。大手予備校は規模を縮小し、カリスマ講師をそろえた予備校が業界を代表するようになりました。高校入試・中学入試では、難関校合格を競っていた大手進学塾でも個別指導や小論文・面接対策を打ち出し、各種入試方式に柔軟な対応をするようになりました。しかし、チェーン店的大規模塾のアキレス腱は、教師陣の大半に大学生アルバイトをあてていることです。個別指導と銘打っても、実際は1人の教員が数名の生徒にプリントをやらせてマル付けをし、間違えた箇所を順に教えるだけで、その生徒に合わせた教材選びや入試対策はできていません。
2月に実施される都立高校の一般入試では、内申点が全体の3割、筆記試験が7割を占めます。7割を占める筆記試験対策を重視せざるを得ませんが、3割の内申点も無視できません。難関国立私立校であれば、ほぼ100%筆記試験の点数のみで決まりますが、都立は普段からこの内申点を上げておかないと志望校を受験することすらできなくなります。すると、往々にして大手塾では定期テストの時期には定期テスト対策プリントを配布しますが、それ以外は筆記試験対策を延々とすることになります。一般入試に先がけて1月に実施される「推薦入試」対策は指導に手間がかかるため、ほぼ無視することになります。
≪もんじゅ≫では都立の一般入試対策もしていますが、力を入れているのが推薦入試対策です。推薦入試は、小論文、集団討論、面接の評価合計と、内申点を半々で計算し、合否を決めます。一般入試よりも内申点の比率が大きいので、定期試験対策が指導の中心内容になります。生徒さん1人ひとり、毎回の定期テストの点数を詳細に分析して、次の学期の勉強方法や教科の力点を指示します。小学生の時はあまり勉強しなくても成績がよかったものの、中学に入ってから成績が落ちたという生徒さんが多くいらっしゃいますので、どのような勉強方法を習慣化すべきかを丁寧に教えます。
最も特徴的なのは、小論文、集団討論、面接の対策です。ほとんどの生徒さんは「作文が苦手です」と言います。でも、それは文章を書いたことがないからです。人が泳いでいるのを見ただけで、いきなり「泳ぎなさい」と言われても泳げないのと同じです。入試を控えた生徒さんには、週刊の中高生新聞を購読してもらい、毎週、好きな記事を原稿用紙2~5枚程度写し書き(視写)してもらいます。3ヵ月もすれば、文章を書くことに対するハードルがなくなります。個別テーマについて書く小論文対策は、入試の年の夏ごろから始めます。小論文の過去問は各高校のホームページなどで閲覧できるので、過去問を練習問題として書いていきます。
集団討論と面接の対策は、志望動機、入学してからやりたいこと、将来の夢などが最初に書く必須テーマです。その他、部活や課外活動などこれまで打ち込んだこと、得意科目・苦手科目、自分流の勉強方法、最近読んだ本の内容、ボランティア活動などについて、600字程度で書き溜めていきます。面接官から高評価を受けるのは、ボランティアなど勉強以外の活動です。数値に表れる学力は内申点でわかるので、それ以外の活動力・行動力のあるリーダー的人材を学校は発掘しようとします。今どきは公立高校であれ、大学進学実績などで競争が激しく、一般入試だけでなく総合型選抜入試で合格を獲得できる人材も確保しなければいけないからです。
そこで≪もんじゅ≫では、地域貢献につながるボランティア活動を、個別指導の生徒さんを中心にお声かけしています。最近では、9月に鶴川地域の図書館や文庫を見学して鶴川の歴史と図書館の意義を考えるツアーに4名の中学生が参加し、その様子の記録がショートムービーとして映画コンペに出品されました。11月には鶴川団地でパーカッションとマリンバの奏者とコラボして、絵本を子どもたちに読むボランティアに≪もんじゅ≫の中学生と高校生が参加しました。その活動はフジテレビ「めざましてれび」の取材を受けて、12月2日朝に一部放送されました。11月に町田市議会で議員さんたちと市政について語り合う「高校生と町田市議会議員の意見交換会」に参加した生徒さんもいます。
≪もんじゅ≫では英語教育にも力を入れています。この10月の英検でも英検5級から準1級まで当教室の生徒さんが受検し、ほとんどのお子さんが合格しました。満点合格者もいます。英検学習はオンラインでも行なっています。高橋門樹の発音をリピートする他、ネイティブの音声をCDやダウンロードによって使用できれば、それを使って音声重視の練習をします。英検はリスニングが得意な受検生が合格しやすいためです。
さらに、テストで高得点が取れる能力以外に、自分で考え行動し、地域貢献ができる「市民」としての資質が入試で問われるようになってきています。昭和の高度経済成長からバブル経済までの頃のように、良い点を取って有名大学に入学し、大企業に勤めれば安泰という時代ではなくなりました。環境や共生、差別の撤廃を考えるSDGsが唱導され、人工知能を使いこなさなければいけない時代です。知識をためこむだけではなく、その運用と社会的貢献が重視されます。教育においても、学校で何が学べるか、将来役立つ技能をどのように身につけるかを考えて進路を考える時代です。入試でも、難問・奇問を解く能力よりも、基礎学力を身につけた上で何ができるのかを考えていきましょう。≪もんじゅ≫はそのお手伝いをします。