第36講 台風と低気圧を追いかける高気圧

 政府機関である省庁のホームページ(HP)を開けると、一般の人や子ども向けにわかりやすい情報提供がなされているページがあります。気象庁のHPを先ほど(2017年9月18日午前)開けると、日本付近の台風18号と周辺の高気圧・低気圧の動きが天気図で示されていました。

 この天気図を見ていて面白いのは、975ヘクトパスカル(hPa)の台風18号が北上すると、1012 hPaの高気圧がその後を追いかけて日本の南西諸島へ入り込んでいる動きです。同じような動きは、台風18号の北東にある1026 hPaの高気圧が、996 hPaの低気圧を追いかけているところにも見られます。

 これら矢印つきで動きがある気圧の周囲には、「ほとんど停滞」と書きこまれた高気圧と低気圧が3つあります。勢いよく北上する台風・低気圧と、それを追いかける高気圧たち。そして、「われ関せず」と動かずにジッとしている高気圧と低気圧がいるという構図です。まるで人間世界みたいですね。

 日本付近に来る台風は、太平洋の赤道近くの海が夏に高温になって蒸発して形成される熱帯低気圧の中でも大きなものです。台風は赤道付近では貿易風によって北西へ移動し、南西諸島付近にまで来ると偏西風によって北東へ移動します。ちょうど日本列島の形状に沿って移動するかのようです。

 気象庁HPには台風の発生・上陸件数のデータも表示してあります。台風は7~10月に5件前後発生するのですが、日本に上陸するのはそのうちの2件前後です。つまり、発生した台風の半分以上は途中で日本列島の東か西へそれてしまいます。台風は太平洋高気圧のふちをなぞって進んでいきます。

 最近は省庁が夏休みなどに子どもの訪問学習を積極的に受け入れています。事前の応募が必要なイベントもありますが、気象庁などは庁舎内に気象科学館を設けて、いつでも見学できるようにしています。予約をすれば、職員さんの説明つき現場見学もあります。≪もんじゅ≫遠足で企画しようかと思います。

(高橋門樹)