先日の『日本経済新聞』(2014年11月22日夕刊第1面)に、衝撃的(?)なニュースが載っていました。「中学受験 英語でも―――首都圏私立少子化で特色競う」と題する記事です。英語を学習する小学生が増えていることと、各校が入試方式の多様化により受験生の確保を狙っていることが背景にあります。
たとえば、東京都市大学付属中学校(世田谷区)は来年2月実施の入試から、英語、算数、作文の3科目受験の「グローバル入試」を導入します。また、桐蔭学園(横浜市)は国語、算数、英語の中から2科目を選択できるようになります。その他の中学校も英語の入試科目化を打ち出しており、この流れは全国的に拡大していきそうだと、専門家は分析しています。
注目なのは、英語と作文が受験で小学校6年生にも要求されるようになったことです。そして、それらは必ずしも帰国子女や外国籍の児童をターゲットにしたものではありません。英語の試験では英検2~準2級レベルが問われるとのことで、このレベルなら一般の日本人の子どもでも小学校低学年から段階を追って、英語を聴き、話し、読み、書く練習をしておけば、到達可能です。そして作文は、「家族で○○へ行きました。(中略)とても楽しかったです」というような、取りとめのない文章ではなく、与えられた設問に関して自分の考えをきちんと述べることが求められる意見展開型の作文になるでしょう。
こうした傾向は今後、日本のグローバル化がますます進む中で、ある程度以上の外国語力と、言葉による自己発信力をもつ人材が選抜されていく時代の趨勢に沿ったものと言えます。
近年、文部科学省は大きな予算をつけて課題解決型教育を推進しており、教育界でも大学から初等中等教育まで、知識偏重ではない、情報の収集と整理、意見構築と発表、討論と文章化、調整と企画実現などを訓練する教育のあり方を模索し始めています。「欧米に追い付け、追い越せ」の時代はとっくに過ぎ去り、トップリーダーの一国として世界の諸問題の解決策を提言し、社会の発展を後押しできる人材の育成が希求されています。
それに伴い、子どもの教育も重箱の隅をつつくような知識問題で学力を問う割合は減っていくでしょう。計算能力・言語能力などの基礎学力を培いつつ、スポーツ・文化活動・ボランティアなどの幅広い経験を持ち、将来的には知力・行動力・コミュニケーション力を兼ね備えた人材育成を目標とする教育が重視されていくことと思われます。