2月2~23日に町田市内の七国山小学校で算数授業の「そろばん教室」を担当させていただきました。文部科学省の指導要領では、小学校3・4年生3学期に「そろばん」を学習することが義務付けられ、教科書は「そろばん」に数ページ分が割かれています。そこで全国の小学校はそろばん指導を近隣のそろばん教室の教師に依頼することがよくあります。
コンピューターが高度な計算をしてくれる昨今、そろばんはもはや必要ないと思われがちですが、大学受験までは算数・数学の授業や試験で計算機やパソコンを試験場に持ち込むことはできませんから、計算が得意なことは非常に有利であることに変わりありません。AI(人工知能)が発達したからといって、人間が自身の知的能力を放棄することはありえないでしょう。はやり計算能力は重要です。
初めて訪問する3年生3クラスと4年生4クラスで、そろばんの長所を尋ねると、どのクラスでも何人もの生徒さんが手を挙げて「計算が得意になる」「暗算ができるようになる」と即答してくれました。実際に各クラスでそろばんを習っている、または習っていた子が数名いました。お母さんやおばあちゃんが使っていたというそろばんを持参する子も時々いました。
「そろばん教室」最終日、授業後に私のところに来たある男子生徒さんが、「僕もそろばんを習いたい」と言ってくれました。そろばんで計算することの面白さを知ってもらえたことは嬉しいかぎりです。校長先生からは丁寧なお手紙をいただき、「そろばん教室の先生に直接教えていただいた方が、教育効果が高いというのは言うまでもありません」と書いてくださっていました。感謝感激です。
≪もんじゅ≫のそろばんコースに通う生徒さんたちを見ると、そろばんの効用には大人が驚くような高度な計算・暗算を可能にさせる他に、軽度の学習障害を持つお子さんに基礎的な計算力を修得させることにも効果が見られます。学校・進学塾・補習塾の算数についていけないお子さんでも、そろばん教室で地道にそろばん練習をしていれば、基礎的な計算問題はきちんと解けるようになります。
また、そろばん競技の1つに英語読上げ算があります。「願いましては、○円なり、○円なり、○円では?」「○円です」「ご明算!」という読上げ算を、英語で“Starting with ○○dollars, ○○dollars…”と読み、英語で答えるものです。意外にも在日米軍基地の小学校ではそろばん授業があり、神奈川県では日米小学生そろばん大会が毎年開催されています。そろばんによる英語教育や国際交流がなされている好例です。
情報技術(IT)が高度化しているからこそ、「人間には何ができるのか」が問われています。単なる懐古趣味的な「温故知新」ではありません。フラッシュ暗算で脳を高速回転させ、読上げ算で聞き取った数字を指でそろばん珠に変換し、計算の速度と正確さを競うそろばんの育脳効果は、日本の初等教育において今一度見直されるべきではないかと、≪もんじゅ≫は考えます。