≪もんじゅ≫では教養の1つとして季節の話題をとりあげ、HPとFBでご説明します。

第28講 ―― 七草がゆと人日(じんじつ)の節句、神話

 お正月のおせち料理でお腹がごちそうに疲れたころ、1月7日に七草がゆを食べておなかを休ませる習慣が、日本にあります。七草とは、「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ」です。最近は便利なことに、七草がスーパーマーケットでパックに入って売っています。わが家でも、それを使って七草がゆを作って食べました(写真。七草に油揚げを入れました)。

 さて、1月7日は中国から伝わった5節句*の中で、最初の節句、「人日(じんじつ)」です。なぜ正月の7日目が人の日なのでしょうか。諸説ありますが、中国の神話で女媧(じょか)という創造神が、最初の6日間に動物を創りました。1日に鶏、2日に狗(イヌ)、3日に羊、4日に猪(ブタ)、5日に牛、6日に馬、そして7日に人類を創ったことにちなんでいます。

 そこで、中国では1月7日が人類誕生を祝う日となり、古くから飲食、装飾、詩作など各種の文化的な風習が各地にあります。1月7日には囚人を殺さない決まりにした王朝もありました。日本には七草粥を食べる風習が伝わりました。日本と中国では七草の内容が異なりますが、中国国内でも地域によって七草が違います。東南アジアでは野菜だけでなく魚の刺身を七種に入れるようです。

 キリスト教の旧約聖書の「創世記」では、神が5日目に魚と鳥を創り、6日目に地上の動物と昆虫、人間を創りました。7日目は天地創造を終えた神が休んだために、人類も休日となりました。洋の東西それぞれに創造神話があり、7日目の祝祭方式が異なるのは興味深いことです。

*5節句とは、①人日(じんじつ)1月7日、②上巳(じょうし)3月3日、③端午(たんご)5月5日、④七夕(しちせき)7月7日、⑤重陽(ちょうよう)9月9日、の5つです。5節句には旬の草花を鑑賞したり、摂取するなどして、自然の力を取り込む知恵が込められています。

(高橋門樹)