≪もんじゅ≫の音読・書きとりコースでは、主要科目の基礎知識を音読します。きのうの小学校1年生の授業を例に授業の一部をご紹介します。昨日は「日本の高い山」3つを覚えました。1位は外国人でも知っていますが、2位と3位の山をご存知ですか? 答は、1位・富士山、2位・北岳、3位・奥穂高岳です。授業では、この「ふじさん、きただけ、おくほたかだけ」を繰り返し唱えます。
小学校1年生も言い慣れている「ふじさん」とは異なり、「きただけ、おくほたかだけ」は早口言葉のようで、慣れないと発音が難しいです。小学校1年生の子どもたちは、お互いに言い間違えるのを「キャハハ」と笑い声をあげて楽しみます。間違えずに言えるようになっても、呪文のように唱え続けています。
「富士山の高さは何メートルだ?」と聞くと、「100メートル」や「1000メートル」との答えが返ってきます。「もっとずっと高くて3776メートル。『みんな富士山みたいに大きくなろう』で、ミナナロウって覚えるんだよ」と教えると、これもまた新しい呪文「ふじさん、みななろう」として唱え出します。音読には暗記を効率化するだけでなく、遊び感覚の楽しさを勉強に与えてくれます。
言葉や数字を機械的に覚えるだけでは理解が弱いです。そこで、地図帳で3つの山を探します。地図帳を使っての地名当てクイズは、子どもたちの定番の遊びです。静岡県、山梨県、長野県の地図で、それぞれの山を確認します。「あった!」「ここだ!」と、子どもたちはわれ先に指さします。地図の次は大型の衛星写真です。関東・中部地方の大型衛星写真を見てみると、平地・盆地・山地が一目瞭然です。
地図と見比べながら衛星写真をしばらく眺めて、とうとう富士山を見つけました。冠雪のために富士山の頂上が白い円状になっていました。私が「どうして富士山のてっぺんは白いんだと思う?」と尋ねると、「雪がつもっているから」という答えと、「地図を見る人にわかりやすくするため」という答えがありました。正解でなくてもかまいません。自分の考えを口にすることが大切です。
私が「宇宙から(衛星で)写真を撮ると、雪もはっきりと写るんだよ」と説明すると、すかさず「なんで富士山だけ雪が残っているの?」と質問が投げかけられます。そこで、「高くなるほど寒くなって、雪が溶けないんだよ。富士山は日本で一番高いからね」と言うと、先ほど覚えたことと結びついて、「だから日本一なんだ」と納得してくれました。
中高生になって嫌でも大量の知識を丸暗記しなくてはいけなくなる前に、小学生のうちは地図を見る面白さや、そこから次々に湧き出てくる疑問を大切にしてもらいたいと思います。そして、言葉の覚え方です。語呂を合わせて覚えやすくしたり、目・口・耳を同時に使って暗記の効率を高めるなどの工夫をすることも、経験的に知っておくと後で役に立ちます。
写真は、生徒さんが北岳を指さしているところです。