≪もんじゅ≫では教養の1つとして、季節の行事や風習を生徒さんに知ってもらいたいと思っています。そこで、ホームページ上で定期的に季節の話題をとりあげ、わかりやすく説明します。
第14講 ―― 文化の日
11月3日は文化の日です。国民の祝日を定めた法律によれば、「自由と平和を愛し、文化をすすめる」日と定めています。どういうことでしょうか。
もともと11月3日は明治天皇の誕生日であり、明治天皇の存命中は「天長節」(天皇誕生日の当時の呼称)として、また明治天皇が崩御して大正の世になると「明治節」として国民の祝日でした。そして、1946年11月3日に日本国憲法が公布されました。日本国憲法は、半年後の1947年5月3日に施行され、5月3日が憲法記念日、11月3日が文化の日となりました。
11月3日を「文化の日」としたのは、文人、山本有三の提案でした。山本有三とは、『路傍の石』『真実一路』などを書いた小説家です。山本は日本国憲法が公布される直前に参議院議員に当選し、同院文化委員長になりました。文化委員長として山本は参議院で次のように発言しました。
「(新憲法で)戦争を放棄したということは、(日本は)軍国主義ではなくなり、本当に平和を愛する建前から、あの宣言をしておるのでありますから、この日を『自由と平和を愛し、文化を進める』という『文化の日』にわれわれは決めたわけなのです」。(読みにくい部分を若干変えています。)
この時の山本の言葉が、今でもそのまま文化の日の定義として使われているわけです。平和を愛し、文化を発展させる。日清戦争以来、約50年間戦争を続けてきた日本が、戦後においては軍国主義を脱却して、平和国家にして文化国家を目指すという当時の宣言でもありました。日本の祝日として、その理念をよく理解しておくべき日でしょう。