≪もんじゅ≫では教養の1つとして毎月、季節の話題をとりあげ、HPとFBでご説明しています。


第31講 ―― イースター(復活祭)

 春の風物詩の1つに、キリスト教のイースター(復活祭)があります。日本ではキリスト教の最大イベントして、冬にクリスマスをお祝いする習慣が根付いていますが、欧米では春のイースターをより重視して祝う国が多くあります。

 イースターは復活祭と訳され、聖書でイエス・キリストが十字架で処刑された3日後に復活したとの記述にもとづいた祝日です。イースター(Easter)という英語は、ゲルマン民族の神話の春の女神「Estore」から来ており、ゲルマン系文化圏以外のキリスト教ではパスハ(Pascha)と呼ばれています。

 “Pascha”はユダヤ教の「過ぎ越しの祭」(モーセ指導下の出エジプトの際に、玄関に印をつけたイスラエル人の家には、神からの厄災が「過ぎ越し」て降りかからなかったことを感謝する伝統行事。ヘブライ語の“Pesach”、英語の“Passover”)が語源です。

 ユダヤ人だったイエスの処刑が過ぎ越しの祭りの時期に執り行われたことから、イースターは過ぎ越しの祭と同時期に行なわれると言われます。過ぎ越しの祭は「春分の日の後の最初の満月の日」と決められていて、それに準じてキリスト教では復活祭の日を、その満月の次の日曜日と定めています。

 春分の日は毎年3月21日前後ですが、満月を基準にしていることと、西方教会と東方教会では採用している暦が異なることから、キリスト教でも宗派によってイースターの日は違います。毎年3~5月の間でイースターの日は移動します。ちなみに2017年は宗派に関係なく4月16日でした。

 ロシア宮廷で製造されたイースターエッグ(写真はそのレプリカ)の物語は神秘的ですが、最近では日本でも、イースターエッグを描いたり、テーマパークなどでイベント開催したりするなど、イースターをクリスマス、バレンタイン、ハロウィンに続く西洋由来の年中行事として定着させようとする傾向が出てきました。

 個人的には、商業主義に踊らされてイベント参加するのは好みませんが、宗教にこだわりをもたない日本人だからこそ、世界の様々な習俗を知り、多文化共生と世界平和に貢献することが可能だと思います。≪もんじゅ≫の生徒さんたちに、世界の様々な文化に触れる機会を教室の内外で提供していきたいです。

(高橋門樹)