科学技術館のショップで売っていた振り子の模型と、ロゴ入り鉛筆を買ってきました。

本文でも書いた通り、A4判1枚を4分割して4つ折りにし、表うら両面8ページ分の「見学のしおり」を作りました。参加者リスト、今回の課題、1日のスケジュールのほか、見学前に基礎知識として振り子と電磁石の要点を図示しました。
科学技術館は体験型の見学施設なので、体を使って「楽しかった!」となるのはよいのですが、それを体験知にまで昇華させる必要があります。後に残る学習活動となるように、「見学のおやくそく」で、「メモをたくさん書く」「展示の写真をたくさんとる」「家に帰ったら、家族に見学の内容を話す」「興味がでたことを調べる」などを指示しました。生徒さんたちは、帰宅後それぞれお母さんに見学内容を話したようです。

 こども教室≪もんじゅ≫では、年に1回ほど、課外授業として「もんじゅ遠足」を実施しています。昨日1月22日(日)は、東京北の丸公園にある科学技術館に行ってきました。東京上野公園にある国立科学博物館は自然が展示の主対象であるのに対し、科学技術館は工業技術関連の展示がメインです。

 今回の「もんじゅ遠足」の課題は、振り子と電磁石です。5年生3学期の理科で学習する単元なので、今回は5年生に参加を呼びかけました。参加したのは5年生9名と、その弟さん3名(小3、小1、幼年中)、そしてお母様3名です。引率の≪もんじゅ≫スタッフ2名を加えて、総勢17名で出かけました。

 午前10時に小田急線新百合ヶ丘駅で待ち合わせして約1時間後、地下鉄を乗り継いで東京メトロ東西線竹橋駅に着きました。皇居のお堀を眼下に見ながら旧江戸城の石垣に沿って歩き、10分ほどで科学技術館に到着しました。昼食をはさんで午後3時すぎまで、思い切り頭と体を使って「科学」を実感しました。

 電磁石の実演講義では、科学技術館の専門の方がコイルに電気を流してS極とN極の発生や、同極同士の反発という性質を使ってスピーカーが振動を発生させて音を作っていることなどを見せてくれました。≪もんじゅ≫の生徒さんも、講義中に挙手をして積極的に発言していました。(3階ワークショップ)

電磁石の実験では、磁力がおよぶ材質や、鉄板と磁石の一体化、コイル数と磁力の関係、S/N極の反発の利用などを実演してくれました。子どもたちが発言する機会が多くあり、≪もんじゅ≫の生徒たちも何度も発言していました。電磁石をアンプにつなげて実験机の上に置くと、机そのものが振動して、スピーカーのように音がしていました。電気製品にはモーター以外にも電磁石が使われていることがわかりました。

S・N極間の引力と斥力(反発する力)を利用して、円形の永久磁石の中で棒状の電磁石を回転させるモーターの巨大な模型を、みなボタンで操作しました。その裏では、モニターで電動モーターの仕組みを詳細に見ることができます。ある生徒さんは、画像を一枚一枚カメラで撮りメモしていました。(3階モーターズタウン)

振り子は、おもり重さや振れ幅に関係なく、一往復の時間(周期)が同じです。しかし、振り子の長さを変えて周期を変えることができます。館内では長さを少しずつ変えたいくつもの振り子を同時に揺らすと、周期の違いでそれら振り子が波打ったり並んだり不思議な動きを見せてくれます(写真)。(5階メカ・WAVE振り子)

他にも、液体窒素を使った「超低温」実演講義(花やゴムボールがパリパリ割れます)や、人が大きなシャボン玉の中に入ったり、煙の竜巻を作ってそれを空気玉で壊したりできます。(5階ワークス) 各階には自然界・工業製品の仕組みと科学の原理を、見て触って理解できる施設が山ほどありました。

電磁石を使ったモーターは、家電、リニアモーターカー、電気自動車でも使われています。見学ではメモ筆記と写真撮影を奨励しました。それらを後で見て、改めて理解することが多くあります。自由研究としてまとめて提出することもできます。

見学にあたって「見学のしおり」(写真。A6判8ページ)を作成し、参加者リストや1日のスケジュールを提示したほか、「遠足の課題」「見学のやくそく」も生徒さんたちに伝えました。見学内容のメモ筆記はもちろんのこと、見学会で初めて会う≪もんじゅ≫の仲間と友だちになること、帰宅後に家族に報告することなどです。

家でお子さんたちの帰りを待っていたお母様たちから、今朝までにメールが何件も届きました。「兄弟2人ともとても楽しんだみたいで、テンションが高いまま帰って参りました。」「見学会はとても楽しかったようで、帰宅後に娘の話が尽きません。」「振り子の玉を動かす実験や長さの違う振り子の動きなど、色々と話してくれました。」「お友だちとの交流も学校とは違う楽しさだったようです。」

いくつもの振り子が、同じ高さから同時に放すと、長さが違うために最初はバラバラに揺れているのに、次第に規則的に動き始めて波状になったり、一直線に戻ったり、まるで美しい数列の世界の変化を振り子でみた気がしました。
抽象的な数字や概念だけでは理解できないことが、こうした現実の物の世界で表現されていることを目の当たりにして、「わからない」が「どうなっているんだろう」に変わるかもしれません。

知識を多く持ちテストで早く正確に答えられることは、学校教育で必須でしょう。しかし、学校で習う知識がどのように実際に身近で利用されているかを発見し、科学の原理を現実のものとしてイメージできることも重要です。≪もんじゅ≫は、学びが楽しいことを様々な機会を通じて知っていただきたいと思っています。

最後は館内で集合写真を撮りました。頭と体を使って盛り上がる施設にいると、同じ学年の子ども同士、話もして共働もして、みなすぐに仲良しになっていました。同年代のお子様をお持ちのお母様たちも、互いにすぐに打ち解けて、子育て話・教育論議に花が咲いていました。