そろばんの最大の特徴は、
数字をそろばんの珠(たま)で可視化することです。
1~9の数字をケタごとに
5珠(ごたま)1つと、1珠(いちたま)4つの
5つの珠の組み合わせで表わします。
足し算、引き算、掛け算、割り算の計算は、
これらの珠を上下に動かして解を導きます。

そろばんの計算方法には、いくつかのルールがあります。
特に初心者にとって重要なものは、
「10になるお友だち」「5になる仲よし」と
≪もんじゅ≫が呼ぶ2つです。
数学の用語では「補数」と呼ぶものです。

具体的に「10になるお友だち」とは、
1と9、2と8、3と7、4と6、5と5、
6と4、7と3、8と2、9と1 という
10を合成する組み合わせのことです。
「5になる仲よし」とは、
1と4、2と3、3と2、4と1 という
5を合成する組み合わせのことです。

たとえば、「8+7」という計算は、
大人は反射的に答えが「15」だとわかります。
しかし、このような繰り上がりのある計算は、
多くの幼稚園児や小学校1年生には理解できません。
そこで、「10になるお友だち」ルールの
「7のお友だちは3」を使います。

8に7を足すと9を超えるので、
答えは10の位に繰り上がります。
そこで、まず8から「お友だちの3」を引いて
1の位を5にしてから、次に10の位に繰り上がった1を入れます。
これで答えは15になります。

文章で書くとわかりにくいのですが、
そろばんでやれば一目瞭然です。
1の位の珠を人差し指で3つ下ろしてから、
10の位の珠を親指で1つ上げます。
実際には、この2アクションを
ほぼ同時に2本の指で行います。
言葉だと理解しにくい「補数」による計算を、
幼稚園児でも「お友だち」と「仲よし」という言葉で
そろばんなら簡単に会得してしまいます。

体験授業にいらっしゃった保護者の方の前で、
≪もんじゅ≫スタッフが指導用の大型そろばんを使って、
足し算や掛け算を実演すると、
「計算ってこういうふうになっていたんですね」と
感心されることがあります。

計算を可視化できるそろばんだからこそ、
慣れれば幼児も複数ケタの計算が難なくこなせますし、
大人はあらためて計算のメカニズムを発見します。
「8+7は15なんだよ」と答えを覚えさせるだけでは、
なぜそうなるのかまでは、理解できないでしょう。

幼稚園、小学校低学年のお子さんが計算力をつけるには、
珠を指ではじき、珠の位置を見て
計算を理解するそろばんがおすすめです。

 

門樹