≪もんじゅ≫が所属している全国珠算教育連盟の機関紙『全国珠算新聞』(第617号、2016年5月1日発行)で、興味深い記事「そろばん指導者としてトンガ王国に」があったので、紹介します。
 油本奈瑠氏は、青年海外協力隊で油本氏は今年4月から、そろばん指導者としてトンガ王国に派遣されています。「トンガの小学校では3年生~5年生でそろばん指導が必修になっているので、そろばんが好きな子が増えて、算数が得意な子が増えるといいなと思います」とのこと。

 トンガでそろばんが必修となった経緯は、『毎日新聞』2015年6月28日の記事「トンガ そろばんが結ぶ絆」に紹介されています。以下に一部抜粋します。(http://mainichi.jp/articles/20150628/ddm/041/040/092000c)
 「きっかけは1976年(中略)中野敏雄・大東文化大名誉教授が部長を務めていたラグビー部を連れてニュージーランドを訪れたときのこと。(中略)飛行機でたまたまトンガ政府の高官の隣に座った。」
 「そろばんを指導していることを高官に話すと、高官は『国王を紹介したい』。当時の国王ツポウ4世と面会することになった。ツポウ4世は『算数の学力向上のため、そろばん教育に力を貸してほしい』と中野さんに依頼した。」

 日本はこれまで1989年からそろばんの指導員として青年海外協力隊員など30名以上を派遣し、播州そろばんで有名な兵庫県小野市は毎年1,000丁に及ぶ中古そろばんを同国に寄付しています。

 トンガではそろばんの全国大会があり、2016年3月の第6回大会には、地区大会を勝ち抜いた小学生たちと教師や父兄ら約300名が参加しました。大会には、トンガの大臣や日本の大使も出席しました。(日本外務省在トンガ日本国大使館HPより。http://www.ton.emb-japan.go.jp/update/20160317%20Soroban%20Competition/20160317_j_soroban%20competition.html)

 写真は、第6回トンガそろばん全国大会の生徒部門(左)と教師部門(右)の競技中の写真です。先生たちもまだ若い人が多く、熱心ですね。

 そろばんは中国発祥ですが、日本で競技用に発達し、国際交流と外国の算数教育に大きな貢献をしているというのは嬉しいことです。

(高橋門樹)

トンガそろばん全国大会教師部門トンガそろばん全国大会生徒