≪もんじゅ≫の作文・読書コースで目覚ましい成長を見せている生徒さんがいます。彼は小学校5年生の時に≪もんじゅ≫に入会して以来、同コースの基本テキストを毎週、約15ページ読んで作文ワークシート1枚を書いてきます。それに加えて、自由課題にもかかわらず、ほぼ毎週3日分の日記を日記ワークシート1枚に書き、小学生新聞の記事を新聞記事ワークシート1枚に書写してきました。

 彼はもともと野球チームでピッチャーとして頑張ってきたので、新聞書写はほとんどがスポーツ欄の記事を選んで書いてきますし、日記も野球の練習や試合のことばかりです。でも、好きなことを書くため毎週欠かさずに書いてきます。しかも、日記の内容はとても臨場感と情感に溢れています。彼のように何か好きで打ち込めるものを持つことを、私は生徒さんと保護者の方にお奨めします。

 今年、彼は中学1年生になりました。5月に運動会があり、生徒はみな運動会の作文を書かされました。お母さまが見せてくれた6月の学年便り(写真)には、彼の書いた作文「体育祭を終えて」が選ばれて載っていました。いくつかのクラス対抗競技の詳細な戦績、女子たちの頑張り、上級生たちからの応援、自分が出場した競技では上位入賞はできなかったけれども級友が励ましてくれたことなどが書かれています。
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 彼の文章は特別な美文ではありませんが、書くべき情報をきちんと書き入れ、周囲の人への配慮が行き届いたバランスのよい文章です。そして文章の最後は「運動会で獲得した団結力やあきらめずに戦う力を、日常生活やこれからの合唱祭などにつなげていきたい」と締めくくってあります。文末のまとめとして、運動会で得た成果と今後の展望に言及するあたりは定石どおりです。

 つい先日も、美術の授業でピカソについて調べたレポートを書いたところ、A評価をもらったとのことです。5年生で当教室の作文を始めた当初は、与えられたマス目を埋めることだけでも四苦八苦していましたが、1年半以上まじめに読書感想文と日記、新聞記事書写を毎週続けた結果、調べたことをまとめたり、自分の体験を文章化したりすることは、苦も無くできるようになりました。

 ≪もんじゅ≫が教えることは、学校の勉強や受験でも役立つけど、なによりも大人になった時にこそ使えるようにしておきたい知的技術です。そのうちの1つが文章力です。読書好きな人は多くいますが、それだけで文章が書けるようになるわけではありません。やはり、調べた情報や自分の見聞をわかりやすく文章にアウトプットする練習を、若い時から積み重ねておくことが大切です。

(高橋門樹)