≪もんじゅ≫の作文・読書コースでは、通常の毎週1枚のワークシートのほかに、①日記、②読書感想文、③短編小説、④俳句、⑤イベント・旅行体験記の5種類の文章を書くワークシートを独自に開発しています。それらをそれぞれ、①ゴールデン・ウィーク(GW、5月)、②夏休み(8月)、③文化の日(11月)、④冬休み(1月)、⑤春休み(3月)の直前に生徒さんに配布して、取り組んでもらいます。

 5月の日記ワークシートに続き、第2弾として読書感想文ワークシートの配布を先月から始めました。夏休み中に400字前後の読書感想文を書くワークシートを配布して、読書感想文を執筆する練習を奨励しています。これで夏休みの宿題として課せられる読書感想文に備えます。4段落構成にしてワークシートの指示通り書けば、半ば自動的に読書感想文が書きあがるようにしてあります。

 読書感想文の特徴は何でしょうか。日記と比較すると、第1に日記が自分の体験や思考を自由に書くのに対し、読書感想文は他人が書いた作品に対して自分の考えをつむぐものです。第2に、こうした批評活動には、何をどのように書くべきかについての技術が必要となります。でも、それは特別むずかしいことではなく、いくつかのパターンを使えば、誰でも「作品との対話」ができます。

 むかし話の「桃太郎」を例にすれば、まず第1段落で、登場人物とあらすじを書きます。ここで、養父母であるおじいさんとおばあさんに恩返しをする恩返しの物語としてとらえるのか、悪者である鬼たちを退治する勧善懲悪物語を論ずるのか、あるいは仲間(イヌ・キジ・サル)とともに目的を果たすチームプロジェクト挑戦記として描くのかによって、「桃太郎」への評価が変わってきます。

 第2段落では、例えば登場人物の個性と作品中の役割、この作品の主張、そこから学べること、自分が参考にできることなどを書きます。たとえば「桃太郎は親思いで正義感が強い」「親には将来きちんと恩返しをしなければいけないと思った」、「悪者にも恐れずに立ち向かう強さをボクもほしい」、「自分たちが得意な能力を発揮し合って、大きなことを成し遂げる過程はワクワクする」などなど。

 第3段落で、作品のヤマ場となった場面や、気に入ったセリフ、または自分の類似の体験を説明します。それは、鬼を退治しに行く決意をおじいさんとおばあさんに話す場面かもしれません。鬼が島での戦闘シーンで、鬼たちにイヌがかみつき、キジがくちばしで突き、サルがひっかき、最後に桃太郎が押さえつける連携プレーかもしれません。実際に自分がいじめっ子をいさめた経験かもしれません。

 そして第4段落は、まとめです。「桃太郎は持ち帰った宝物をきちんと村人に返したのだろうか」などの素朴な疑問、「相手が鬼だからと言って暴力で懲らしめるなんて野蛮だ」といった反論、「話し合いで鬼と村人の共存共栄を模索してはどうだろうか」という提案などを理由とともに示します。読書感想文では、「すばらしいと思いました」「おもしろかったです」など、どんな作品にでも使える言葉でしめくくることはできるだけ避けましょう。

 そもそも、読書感想文課題の目的は何でしょうか。私は、他人との上手なコミュニケーション能力を養うことにあると考えています。他人が書いた作品の内容を把握し、ポイントを指摘し、それに対して共感や自分の意見を提示するという手順は、人との会話を弾ませるための話術でもあります。それを読書感想文で論理的に適切な言葉を熟慮しながら練習することにより、会話上手になることができます。

 ≪もんじゅ≫の、①日記、②読書感想文、③短編小説、④俳句、⑤イベント・旅行体験記の5種類のワークシートは、必須課題ではなく自由課題として配布します。何枚書いて、いつ提出してもよいことにしています。提出されたワークシートは、作文・読書コースのサービスの一環として無料で添削して返却します。ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。