今年≪もんじゅ≫開塾6年目のそろばん・暗算コースの課題は、全国大会への参加です。8月8日は京都で開催された全日本珠算選手権大会(以下「全日本大会」と略)に2名の選手が初参加しました。先日10月21日は、東京での全日本通信珠算競技大会(以下「全日本通信」と略)に≪もんじゅ≫の小学校3年~中学1年生計9名の生徒さんが参加しました。結果は、1名の女子選手が見事、東京都内での小学校4年以下の部で、個人総合、読上算、読上暗算、フラッシュ暗算の競技すべてで3等を獲得しました。あと少しで3等入賞だった選手もおり、選手の皆さんは初めての全国大会でよく頑張りました。

 全日本通信大会当日は、朝7時30分に鶴川駅で集合しました。みな時間通りに集まり、勇ましく(?)小田急線に乗車して出発しました。各駅停車で新宿駅から2つ手前の参宮橋駅で下車、8時半過ぎに会場の国立オリンピック記念青少年総合センターへ着きました。9時15分に会場の各教室で開会式の後、9時30分から競技が始まりました。各競技を順次実施し、午後2時から3時までは表彰式です。半日以上かかって競技を終えると、全員クタクタです。しかし、往復の電車や昼食で、普段は≪もんじゅ≫でクラスが違うためにあまり話す機会のない生徒同士が仲良くなり、ちょっとした遠足気分です。

 事前に配布された全日本通信の出場者名簿を見ると、小学生~大学生は通学している学校別に選手名が列挙されています。大学では早稲大学や明治大学、中学高校では国立大付属校や都立上位校、難関私立校などが並んでいます。これらのうち多くの学校で部活・文化団体として「そろばん部」があります。選手たちは学校のそろばん部と地元のそろばん教室を掛け持ちして、練習に励んでいます。IT(情報技術)やAI(人工知能)が発達した時代でも、そろばんが知的瞬発力を高め、部活やそろばん教室で仲間と切磋琢磨する教育的効果に変化はありません。近年、小学生を中心にそろばん学習者は増えています。

 京都の「全日本大会」と東京の「全日本通信」は、どのように違うのでしょうか。前者の参加資格が珠算・暗算ともに有段者であるのに対し、後者は参加資格としての級段位が定められていないため、指導者側にとっては前者に出場できない有望な生徒たちを後者に参加させて刺激を与えられます。前者は全国から選りすぐりの有段者600名余りの選手が年齢に関係なく集結し、当日中に優勝・入賞者が決定しますが、後者は全国約140ヵ所で同時開催され、1万人を超す大会参加者の中から後日、優勝・入賞者が決定します。それぞれの優勝者は「夏の日本一」および「秋の日本一」と呼ばれることがあります。

 全日本通信は、①小学校4年生以下の部、②小学校5・6年生の部、③中学校の部、④高校の部、⑤一般(大学を含む)の5つの部に選手が分かれて、それぞれ「日本一」を競います。やはり記録的には、年齢が上にいくほどレベルがあがります。全日本通信としての優勝・入賞者の決定は、大会実施日から数日かかる一方で、≪もんじゅ≫が所属する全国珠算教育連盟東京都支部では都大会としての側面もあり、都内の参加者について即日、都内優勝・入賞者を決め、大会終盤で表彰式まで行われます。本稿冒頭で書いた、≪もんじゅ≫の生徒さんの3等賞は「全日本通信での都内入賞」ということになります。

今回、私は中学生~一般の競技が行われた合同会場で見学しました。読上算競技の前の休み時間に読手の先生が練習読みをすると、選手たちはすかさずそろばんを取り出し、ものすごい勢いで数字をそろばんに打ち込んでいました。休憩時間には学校の仲間同士で情報交換や作戦を練ります。これまで他の大会では付添いの保護者の引率などもあり、私は低学年の会場を見学することが多く、休憩時間になると数百名の小学生たちに、それぞれの保護者たちが駆け寄って教室全体がにぎやかになるのとは、雰囲気がまるで異なりました。年齢の高い選手たちの会場は、数時間ずっと緊張感が途切れませんでした。

 その場で優勝・入賞がすぐ決定するフラッシュ暗算競技は、3桁・15口・1.80秒を一般の部・拓殖大学の女子選手が正答して優勝しました。同1.83秒を高校生の部・早稲田大学系属早稲田実業学校の男子選手が、また同1.95秒を中学生の部・世田谷区立中の女子選手が優勝しました。1.66秒が今年8月の全日本大会でのフラッシュ暗算の優勝記録であり、現在の世界ギネス記録であることを考えれば、都内の大学生・高校生・中学生の記録として、非常にレベルが高いと言えるでしょう。小学校5・6年生の部の優勝は3.0秒でした。やはり、そろばんは修練の年数を重ねるごとに上達することがわかります。

 全珠連東京都支部では、7月の東京都大会、8月の全日本大会、10月の全日本通信、11月の全関東大会などの結果を集計して、小学生から大人まで実力ランキング「東京都そろばん十傑」を毎年発表しています。このランキングに入るためには、上記の大会にマメに出場することが必要です。3月の東京都小学生低学年コンクールも含め、≪もんじゅ≫では大会に出場できる実力を持つ生徒さんたちに声をかけ、皆さんが飛躍する機会をご提供しています。お子さんが学校の算数で役立つ計算力をそろばんで習得するお手伝いをする傍ら、個人ランキングを誇る選手の育成も手がけていきたいと考えています。