2020年度からの大学入学共通テスト(大学入試センター試験の後継試験)の英語は、同センターが出題する従来通りのマークシート試験と、英検・TOEIC(トーイック)などの民間試験を併用することが、国立大学協会の理事会で方針として固まったと、今月14日に新聞各社が報道しました。併用というのは、両方を課す場合と、いずれか一方を課す場合の2通りがあり、それは各大学が判断することになりそうです。

 受験英語をいくら勉強しても、実用には程遠い英語しか身に付かないとの反省から、4技能(リスニング・リーディング・スピーキング・ライティング)すべての能力を測ることのできる民間試験の導入となったわけです。ただし、英検のような準2級、2級、準1級という大まかな区切りと、TOEIC、TOEFLE(トーフル)のような点数で実力が表示されるものでは比較がしにくいため、やはりこれまでのような統一した試験も必要という中途半端なものになっています。

 文科省は「英語4技能試験情報サイト」(http://4skills.jp/)を開設して、大学入試を中心にさまざまな英語教育に関連する情報を提供しています。ご興味のある方はご参照ください。

 これまで一般的に、英検は受験用、TOEICは就職用、TOEFLEは留学用と使い分けられてきました。TOEICは基本的にビジネスシーンを想定した出題内容になっているので、現実的に高校生がこれを受検するのは適当ではないでしょう。その点で英検は子どもから中学生に向けた検定(児童英検ジュニア~英検3級)が用意されていますので、TOEICとTOEFLEを受検する前の高校までに英検2級または準1級を取得しておくのが順当です。

 2010年に日本の経済力が世界第2位から陥落し、2016年に人口が初めて減少しました。英語学習の低年齢化と小学校での必修科目化には賛否両論あるでしょうけれども、日本の少子化・人口減少が確実に進行する中、日本経済が市場を海外に求め、外国人を受け入れざるを得ないのは必然です。将来、英語などの外国語を使える人材が、労働市場でのアドバンテージを持つことも間違いないでしょう。入試も就職活動も、ますます激変していくことが予測されます。

(高橋門樹)