あけましておめでとうございます。お正月ですから、おめでたい話のウンチクを少しばかり書かせていただきます。

 ≪もんじゅ≫では、課外学習として遠足「鎌倉七福神めぐり」を1月に実施予定です。それにあわせて、教材の中でも七福神を取り上げ、暗記します。恵比寿、大黒、毘沙門天、弁天、布袋、福禄寿、寿老人。ご存知でしたか。でも、どうせ覚えるなら、多少の背景的知識があったほうが覚えやすいし、神社やお寺で七福神の絵や像を見た時に、「ああ、これね」と発見があります。日本では宝船の絵に登場したり、置物でよく見かけたりする七福神ですが、実は日本固有の神様は「えびす様」だけで、あとは3つがインド由来、残りの3つが中国由来です。7つの神様すべてを説明すると長くなるので、ここでは3つの神様だけ説明して、残りの4神は別稿にゆずります。

 最初にとりあげる「えびす様」といえば、ヱビスビールのラベルでおなじみです。釣りざおと鯛を抱えている漁業や海の神様です。鯛は「おめでタイ」にかかっていまね。漢字もおめでたい文字の「恵比寿」があてられることが一般的ですが、蛭子、夷、戎、胡などが使われることもあります。日本神話ではイザナキとイザナミの2神が、ヒル(蛭)のようだった最初の子どもを海に流してしまいました。しかし、その子どもが漂着して、それを神として祀っている蛭子(えびす、または、ひるこ)神社が日本各地にあります。夷・戎・胡は、中国語でもともと外国を意味します。そうしたことから、「えびす様」は海からやって来た神様となったようです。四方を海に囲まれた日本ならではの神様と言えます。

 「だいこく様」は、もともとインドの破壊神シヴァの化身である「マハー(偉大な)カーラ(暗黒)」の意訳名で、漢字では大黒天と書きます。破壊神の化身なだけに黒い体で、怒った表情をしています。この大黒天は、インドの寺院の厨房でも祀られていたことから、厨房の神様として中国、日本へと伝わりました。日本の天台宗の開祖である最澄が食糧の神様としての信仰を広めました。そのため一般的に「だいこく様」は、米俵の上に座り、打ち出の小づちと大きな福袋を持っています。さらに、日本では大国主命(おおくにぬしのみこと)の「大国」と「大黒」が「だいこく」で同音ということで習合しました。大国主命は出雲大社のご祭神です。大国主命が日本神話の中で農業神でもあることから、「えびす様」と「だいこく様」を併せて拝めば、大漁追福、五穀豊穣、商売繁盛の功徳がある一対の福の神として一緒に祀られることがよくあります。

 「びしゃもん天」は、インドの財宝神クベーラ(金毘羅、こんぴら)の俗称であるヴァイシュラヴァナが、仏教神話の中で「毘沙門天」と中国語に音訳されて登場しました。ブッダの話を多く聞く機会のある神だったので、「多聞天」という意訳名もあります。しかし毘沙門天は、北方を守護する四天王の一尊であることから武神として知られるようになりました。すその長いよろいを身にまとい、手に宝塔や宝棒などの武器を持ち、悪鬼を踏みつける勇ましい姿で表されます。日本では、聖徳太子が物部氏との戦の際に毘沙門天が現れ、太子がその加護で勝利したとされることや、上杉謙信が毘沙門天を信仰し、上杉軍の旗印として「毘」の一字を用いていたことなどが逸話として残っています。京都の北方を守る鞍馬寺でも毘沙門天像が安置されています。

     門樹