≪もんじゅ≫で男子生徒に「学校の好きな教科」を尋ねると、面白いことに多くが「歴史」と答えます。男の子にとって歴史は、信長・秀吉・家康のような天下人や、正宗・謙信・信玄などの戦国武将などのヒーローが魅力のようです。女子にも家族でNHK大河ドラマを観る「歴女(れきじょ)」はいますが、少数派です。

 しかし、歴史を好きだから得意かと問われると、そうとは言い切れないお子さんが多いのも事実です。歴史は「遣隋使」「蘇我入鹿」「摂関政治」「武家諸法度」など、難しい漢字や意味のわからない用語が頻出します。学校の授業で1回説明を聞いただけで、頭に定着させるのはなかなか難しいでしょう。

 そこで≪もんじゅ≫は学習マンガをお勧めしています。マンガなので漢字にはすべて読みがながふってあり、子ども1人でも読み進められます。絵もついていて、具体的なイメージを持つことが容易です。何度も読んでいるうちに、人名やセリフ、用語、ストーリーなどを、いつの間にか覚えてしまいます。

 東京大学など難関大学に合格した人たちで、小学生のころから学習マンガを繰り返し読んだ結果、どの歴史的事件が何ページのどこに書いてあるかまで暗記していたと言う人は少なくありません。学習マンガを読んでいる≪もんじゅ≫の生徒は、「教科書よりも読みやすいのに情報が濃い」と感想を言います。

 ≪もんじゅ≫の個別指導コースでは、希望者に『角川まんが学習シリーズ 日本の歴史』(全15巻+別巻1冊)をテキストにして講読をしています。近年、各出版社が最新の歴史研究の成果を盛り込んで歴史マンガを改訂しています。角川のものは判型がやや小さめで、携帯に便利なので選びました。

 講読では1巻を2週で読んでいきます。面白かったことと、よくわからなかったことを数点ずつ挙げてもらい、それを解説をします。歴史の人物名をプリントに記入して年号・事件名とあわせて暗記もします。また何か関連したモノを見せ、触らせます。強い印象を与えて記憶の引っかかりを作るためです。

 写真は、わが家にある金印「漢委奴国王」のレプリカです。テキストのマンガで金印を光武帝から日本の使者が授けられる場面(写真上)になると、生徒にそれを見せます。実物と同じ23mm四方に作られた金属製で、小さいけれど重みがあります。なぜか≪もんじゅ≫が収蔵しているかのようで、「これ本物?」と目を丸くして驚いてくれます。

 歴史関連のモノには本も含みます。「魏志倭人伝」の日本語訳が収録されている『倭国伝』(講談社学術文庫)で卑弥呼について書いてある箇所や、織田信長の生涯を部下が著した『信長公記』(新人物文庫)で本能寺の変のくだりを読ませると、生徒たちは「へぇー」と見入り、歴史の一端をかいま見たような感覚を持ってくれます。

 このように、本が苦手なお子さんには、難しい文学作品や参考書ではなく学習マンガから始めると、活字を読む訓練になります。歴史ばかりでなく、理科の「サバイバルシリーズ」や、ドラえもん、コナン、ちびまる子ちゃんなどのキャラクターが教えてくれる本もあります。良質なマンガの活用をお勧めします。

(高橋門樹)