携帯電話やスマホをお子さんに持たせることについて、教室のお母様から相談を受けることがあります。小学校高学年にもなると、習い事へ行く時の送り迎えの連絡で必要なだけでなく、子どもが友だちとLINEなどのSNSをすることを希望することから、携帯電話やスマホを持たせるお宅が出てきます。3年後には小学校でのプログラミング教育が必修化される時代ですから、デジタル機器に慣れること自体は悪いことではありません。やはり心配するのは、その利用マナーです。

 携帯電話を持たせて、子どもたちが最初に始めるのはメール。といっても、ショート・メッセージがほとんどです。いちいち相手のメールアドレスを設定したり、件名を書いたりしなくてもいいので便利です。一旦やり始めると、案の定ハマってしまいます。自分の部屋で夜遅くまでメールをしているので、「もうやめなさい」というと、「お母さんだっていつもスマホいじっているじゃない」と反論されてしまいます。携帯電話を買い与える前に、ルールを親子間で決めておくことをお勧めします。

 子どもはスマホを持つとLINE(ライン)を始めます。LINEで家族間のコミュニケーションや連絡ができるのは歓迎なのですが、友だちとの間で仲たがいやいじめがおきるのもLINEです。子どもは平然と友だちを排除する書き込みやいじめ的メッセージをアップします。「○○君(さん)をこのグループから外そう」という言葉がLINEグループの中で普通に出てきます。誹謗中傷が何度も出てくるグループに所属することを嫌って脱会する子もいますが、ほとんどの子は傍観したままです。

 LINE上で目に余るいじめ的書込みがあったのを知った親が、学校へ連絡をしたそうです。学校では連絡を受けて、さっそく当事者となっている子どもたちへの聞き取りを始めました。学校ではSNSの利用マナーの向上を呼びかけており、ある学校ではいじめにつながる言動については「説諭」という形での注意をしているようです。「説諭になるから、やめたほうがいいよ」と抑制をきかす子どもも一部にはいますが、強制力がないため子どもたちへの効果はあまりないようです。

 あるお宅は、いじめの温床になりかねないスマホは子どもに持たせず、携帯電話を持たせるのにとどめています。お子さんが中学生になっても携帯電話もスマホも買い与えず、家族共通のPCでメール利用だけに制限しているお宅もあります。ご家庭によって携帯・スマホの子どもへの与え方はみな違います。共通して言えるのは、親子で話し合って家庭のルールをつくっているお宅は、スマホでもゲームでも大きな問題は起きていないようです。

 スマホ自体がここ数年で普及したものですから、その扱いは大人も子どもも模索しているところです。現実には学校の調べ学習はネット検索を前提にしていることが多いですし、小学生がパワーポイントを使ったプレゼンを学校ですることもあります。情報端末を持つことを制限するよりも、お子さんと話し合った上で問題の起きない利用方法や機能、時間を設定し、友人とのSNSのやり取りのマナーを教えるのが、家庭でも求められていると思います。皆様のお知恵をお聞かせいただけますとありがたいです。

(高橋門樹)