2017年11月12日、第56回全関東珠算競技大会、小学生の部の開会の様子

 11月12日(日)に、≪もんじゅ≫の生徒さん2名が東京代々木にある国立オリンピック記念青少年総合センターで開催された第56回全関東珠算競技大会に参加しました。1都6県から選抜された幼稚園児から大人まで700人余りの選手とその指導者たちが一堂に会して、計算技能を競いました。≪もんじゅ≫がこの大会に選手を送り込んだのは今回が初めてで、開塾5年目の今年、珠算・暗算・フラッシュ暗算などで数名が段位に合格者して実現しました。

 これまでも東京都の大会には何度も出場しており、今年は夏の大会で団体3等賞をいただくことができたのですが、全関東レベルの大会となるとさらにレベルが上がり、大会に参加する他の選手たちには全国大会に出場している選手も少なくありません。今回、私は小学生の部をずっと見ていましたが、競技で「用意、始め」の声がかかると、まるで猛獣が獲物に跳びかかるかのような勢いで解答用紙をめくって計算を始める小学生たちの姿は、見ているほうが圧倒されるほどです。

 先日、郵便で届いた『全国珠算新聞』(2017年11月1日発行、第626号)には、今年8月8日に京都で開催された全日本珠算選手権大会に参加した選手の「大学生選手からのメッセージ」と題する記事が掲載されていました。その記事では、大会参加の感想と、そろばん学習の効果について書かれています。京都大学の松井選手と北海道大学の酒井選手のメッセージは、共通する部分が多く興味深いので、以下に抜粋して紹介いたします。(一部中略してあります。)

 松井選手「そろばん学習により集中力や計算力、忍耐力が身につくと感じます。大学入試においてセンター入試では計算力が、二次試験では集中力が役立ったと思います」。酒井選手「集中力、忍耐力がつくことが一番だと思います。そろばんの上手な小学生を見ると、その子たちは平気で8時間程度の練習をこなします。計算能力の向上はもちろんですが、集中力、忍耐力をつけることに対し、そろばんは非常に効果的であると思います」。

 『全国珠算新聞』と一緒に届いた『全珠連会報』(2017年11月1日発行、第174号)には、時代小説の作家、原田孔平氏が「そろばんOBからの応援メッセージ」を寄せられています。作家生活に入る前に珠算教室を営み、子どもたちにそろばんを教えていた原田氏は、「人間の能力を最大限に引き出すという点において、珠算ほど優れた習い事は他に例をみない」と断言します。氏は今なお、珠算を教えていた当時のご自身や生徒たちの夢を見ると言います。

≪もんじゅ≫の参加選手の2人。よく頑張りました。


 そろばん学習には、突出した計算能力の習得に加え、それを獲得する過程の自己鍛錬、そして生徒・教師間の対話もあることが特徴と言えます。なにかとコストパフォーマンスが求められる昨今ですが、幼少年期から始める習い事は、数値に表すことのできない人間形成にこそ、親御さんが期待するものがあるのではないでしょうか。コンピューター全盛の時代、人間力を磨くことのできる習い事の1つとして、そろばんが注目される理由でしょう。

 大会では幼稚園児から大人までもがわき目もふらずに必死に珠を弾き、結果に一喜一憂するそろばん。超人的な計算能力を身につけられるだけでなく、年齢に関係なく真剣に努力する大切さをお子さんたちが肌で感じることのできる素晴らしい習い事だと改めて思いました。≪もんじゅ≫の選手2名は、1名が個人総合で3等、1名が優良賞でした。2人とももう少しで更に上位の入賞が可能でした。来年は参加選手を増やして再挑戦するのが楽しみです。

(高橋門樹)