全国珠算教育連盟(全珠連)の機関紙『全国珠算新聞』(第611号、平成27年5月1日発行)に、全珠連学術顧問の林壽郎(はやし・としお)氏が「そろばんと生涯健康人」と題する文章を寄稿されています。林氏は大阪府立大学の先端科学研究所で生命科学の研究をされていた名誉教授です。上記の記事で、そろばんの効用についてわかりやすい説明をされていますので、以下に抜粋を紹介します。

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「これまで永い間、全珠連のお力をいただいて『珠算の医学的効用』について勉強させていただき、医療現場でも珠算学習の重要性を痛感してまいりました。幼少時から珠算学習で指先運動を続けると迅速で正確な計算能力が身に付くだけでなく、脳科学的には前頭前野の動きが高まり、さらに珠算式暗算の学習によって右脳が活性化されて全人格的な発達が加速する効果が生まれます。」

「日本古来の教育文化である珠算を最大限活用する珠算塾こそが、現代社会を心身ともに健全に生き抜くための個々の自発的な修行の場として今後も重要な役割を果たすことは間違いありません。そのためには、珠算学習を若年期から始め、そろばんを一生離さない生活を続けることが、生涯健康人にはもっとも肝要です。」

「医療従事者には『ヒトとして基本的資質』が改めて大きく問われ、まさに患者に対する優しさと思いやりと勤勉努力だけでなく、生きる力の育成、基礎力・基本的な知識・技能の習得、生涯学習意欲、忍耐力、迅速で確実な思考力・判断力・表現力・集中力、問題解決能力が厳しく要請されるようになりました。これらの要請内容は、基本的資質の育成を目指す珠算学習の基本理念と重なるものではないでしょうか。」