≪もんじゅ≫では教養の1つとして、季節の行事や風習を生徒さんに知ってもらいたいと思っています。そこで、ホームページ上で定期的に季節の話題をとりあげ、わかりやすく説明します。

第19講 ―― 花冷え・花曇り

上野不忍池桜 皆さんは桜のお花見に行かれたでしょうか。でも3月下旬から4月上旬は、桜などの花が咲き誇って春爛漫!と言いたいところですが、実際のところ、桜の花見で寒い思いをされた経験をお持ちの人は多いと思います。手紙の事項のあいさつには思わず、「花冷えの候、お花見でお風邪などを召されていらっしゃいませんでしょうか」などと書きたくなります。

 これは、冬に強かったシベリア寒気団が弱まって、低気圧と高気圧が日本上空を交互に行き来するために天候が不安定となり、雨や風が起きる気象状況です。この時季の寒さを「花冷え」、曇り空を「花曇り」と呼びます。それに先立って、2月上旬の立春から3月下旬の春分の間には、「春一番」と呼ばれる強風も吹きます。春の始まりは、実は荒れ模様です。

小田原城花曇り 今年のわが家は、4月1日に友人家族と桜の名所である上野の公園近くでお昼を食べ、不忍池でボートに乗って満開の桜を楽しみました。私は翌日に、大学の教え子の結婚式で小田原城近くの式場へ行きました。小田原城は城下の桜並木が城を桃色に包みこんでいました。両日とも曇り空でしたが、「花曇り」は薄紅色の桜の雲海と舞い散る桜吹雪で、空が彩られているという意味に思えました。