≪もんじゅ≫では教養の1つとして毎月、季節の話題をとりあげ、HPとFBでご説明しています。

第30講 ―― 歳寒三友

日本で松竹梅(しょうちくばい)と言えば、日本酒の名前か定食のメニューを思い浮かべることが多いかと思います。中国ではこれらをまとめて「歳寒三友(さいかんさんゆう)」と呼んで、珍重しています。

「歳寒」とは長い年月と厳しい環境を表しています。「水滸伝」には、「水滸の忠義の士を見よ。命をかけて歳寒の心意気を守り通す」との一文があり、どのような状況でも変わらぬ志の代名詞にしています。

「三友」など3つのものを採り合せる例には、中国の古典文学「紅楼夢」の中に、「歳寒三友」(松・竹・梅)と「玉堂富貴」(牡丹・蘭・海棠)との表現で、旧家が室内で飾る植物を示す描写があります。

地味でも堅牢な存在感を持つ松、しなやかで多用途に使われる竹、晩冬に香気を漂わせて開花する梅。常緑と紅白の花で厳しい冬を彩る三友は、人生の在り方を象徴する植物として、画題によく用いられます。